MENU
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

システム要件定義の進め方と失敗を防ぐ手順とチェックリスト

当ページのリンクには広告が含まれています。
システム要件定義の進め方と失敗を防ぐ手順とチェックリスト

新しい業務システムの企画会議で「とりあえず要件を洗い出しましょう」と言われたものの、何からどう決めればよいのか分からず不安になったことはありませんか。
要件定義はプロジェクトの成否を左右する重要な工程ですが、形式だけまねして進めると抜け漏れや認識ズレが起きやすくなります。
この記事では、要件定義の基本的な進め方と手順を整理し、現場でそのまま使えるチェックリストもあわせて紹介します。
初めて要件定義を任された担当者でも、どこから着手し、何を確認すればよいかが分かるようになることを目指します。

この記事でわかること

・要件定義の目的とゴールをどのように設定すべきか
・要件定義の全体の流れと各ステップで行うべきこと
・ヒアリングやドキュメント作成で使えるチェックリスト
・要件定義での失敗パターンと回避するための判断基準

目次

要件定義の基本と進め方の全体像

要件定義をきちんと理解するには、まず「何のためにやるのか」を明確にすることが大切です。
ゴールがあいまいなまま要件を列挙していくと、後から大きな手戻りが発生しがちです。
ここでは、要件定義の目的と全体像、基本用語、関係者の役割を整理し、プロジェクトの地図を描きます。

要件定義のゴールと読みどころ

要件定義のゴールは、関係者全員が「何を実現したいのか」を同じイメージで共有できる状態にすることです。
「仕様書を作ること」自体がゴールではなく、「その仕様書を見れば誰でも同じシステム像を思い浮かべられる」ことが重要です。

判断基準としては、次の三つが目安になります。
誰が読んでも分かること
抜け漏れや矛盾が少ないこと
優先度や制約条件が整理されていること
これらが満たされていれば、設計や開発にスムーズにバトンを渡せる状態に近いと考えられます。

現場では「とりあえず機能一覧を作ったので要件定義は終わり」という進め方になりがちです。
しかし、目的や効果、運用方法、非機能要件などが抜けると、後工程で大きな修正が必要になるケースが多く見られます。
要件定義のゴールを意識して、最初から「プロジェクトの成功条件」を言語化しておくことが大切です。

要件定義プロセスの全体像

一般的なシステム開発では、要件定義は次のような流れで進みます。

  1. 目的や背景の整理
  2. ステークホルダーの洗い出し
  3. 現状業務の把握と課題整理
  4. あるべき姿(ToBe)の検討
  5. 機能要件・非機能要件の整理
  6. 優先度付けと範囲の確定
  7. 要件定義書としてドキュメント化

これは一度きりの直線的な流れではなく、ヒアリングとレビューを繰り返しながら精度を高めていくサイクルだと捉えるとイメージしやすくなります。

判断基準としては、「次の工程(基本設計)が迷わず始められるかどうか」を意識するとよいでしょう。
設計担当者が要件定義書を読んで「結局何を作ればよいのか分からない」という状態であれば、まだ要件が十分に固まっていないサインです。

たとえば、ある企業では、最初に目的とKPIを丁寧に言語化してから要件定義に入る運用に切り替えたところ、後工程の仕様変更が減り、プロジェクト全体の期間短縮につながったという例があります。(ntt-review.jp)

用語と基本概念の整理(誤解しやすいポイント)

要件定義では、似たような用語が多く登場し、混乱しやすくなります。
代表的なものを簡単に整理すると、次のようなイメージです。

  • ビジネス要件:ビジネスとして達成したい目的や効果
  • ユーザー要件:利用者が達成したいことや期待する体験
  • システム要件:そのためにシステムとして満たすべき条件
  • 機能要件:システムが持つべき具体的な機能
  • 非機能要件:性能やセキュリティ、運用などの品質面の条件

国際的なガイドラインでも、要件は正確で、一貫性があり、検証可能であることなどが重要だとされています(出典:IEEE公式サイト)。(ウィキペディア)
用語の意味をチーム内でそろえ、あいまいな表現を避けることで、後々の認識ズレを減らすことができます。

判断のポイントは、「後から別の人が読んでも同じ解釈になるかどうか」です。
あいまいな単語や主観的な表現は、できるだけ定義や具体例を添えて説明しておくと安心です。

関係者ごとの役割と期待値

要件定義には、ビジネス側、システム側、利用者側など、さまざまな立場の人が関わります。
それぞれの役割と期待値を整理しておかないと、意思決定が進まず、会議だけが増えてしまうこともあります。

一般的には、次のような役割分担がよく見られます。

  • 事業責任者:目的や予算、最終方針の決定
  • 業務担当者:現場業務の説明と課題の提示
  • システム部門:技術的な制約や実現可能性の整理
  • ベンダー:解決策の提案と実現方法の検討

判断基準としては、「誰が何を決めるのか」が明確になっているかどうかが重要です。
たとえば、「この要件の優先度を決めるのは誰か」「標準機能で対応するか追加開発するかを判断するのは誰か」といったポイントを最初に決めておくと、要件議論がスムーズになります。

現場では、「現場担当者が何でも決めてくれるだろう」と期待してしまい、意思決定権を持つ人が参加しないまま要件定義が進んでしまうケースもあります。
その結果、後半になってから「その要件には予算が出せない」と言われ、全体をやり直す状況に陥ることも少なくありません。

要件定義の手順とチェックリストの実践ポイント

ここからは、要件定義をどのような手順で進めればよいかを、実務に沿って見ていきます。
単に手順を追うだけでなく、各ステップで使えるチェックリストを用意しておくことで、抜け漏れのリスクを大きく減らせます。
自社のプロジェクトの規模や文化に合わせて、必要な項目を取捨選択しながら活用してください。

要件定義の標準的な手順

標準的な手順を、もう少し実務寄りに分解すると次のようになります。

  1. プロジェクトの目的と成功指標の定義
  2. 関係者の整理とキーパーソンの確認
  3. 現状業務のヒアリングと可視化
  4. 課題・ニーズの整理と優先度付け
  5. あるべき業務フローとシステム像の検討
  6. 機能要件・非機能要件の具体化
  7. データ項目や連携インターフェースの検討
  8. 要件の優先度とスコープの確定
  9. 要件定義書へのまとめとレビュー

判断基準としては、「各ステップを飛ばしていないか」「前のステップの成果物が次のステップでちゃんと使われているか」を確認することが重要です。
たとえば、目的やKPIを決めないまま業務ヒアリングを始めると、聞くべき範囲が広がり過ぎて、結局どの要件が本当に必要なのか分からなくなってしまいがちです。

会話例としては、次のようなやり取りがよくあります。
「この機能は本当に必要ですか」
「あると便利なので入れておきたいです」
この場合、「目的やKPIにどのように貢献するか」という観点で問い直すと、優先度を整理しやすくなります。

ヒアリング・合意形成のチェックリスト

ヒアリングは要件定義の成否を左右する重要な場面です。
しかし、「何となく話を聞いて終わってしまった」という反省が残ることも多いのではないでしょうか。

ヒアリングの前に、次のようなチェックリストを用意しておくと安心です。

  • ヒアリングの目的は明確か
  • 参加者と役割は整理できているか
  • 現状の業務フローは事前に把握しているか
  • 質問項目は事前に共有しているか
  • 誰が議事録を取り、どのように共有するか決めているか

また、合意形成に向けては、次の観点を確認しておきます。

  • 決定すべきテーマと判断者が明確か
  • 決まらなかった項目の扱い方が決まっているか
  • 反対意見や懸念事項を出しやすい雰囲気になっているか

判断基準としては、「会議後に参加者全員が同じ内容を説明できるかどうか」を意識するとよいでしょう。
現場の経験として、ヒアリングメモをそのまま要件案として配布し、次回までに赤入れしてもらう方式を取ると、合意形成がスムーズになったという例もよく見られます。

ドキュメント化とレビューのチェックリスト

要件を言葉で話し合っただけでは、時間がたつにつれて解釈がずれていきます。
そのため、早い段階からドキュメント化し、レビューを重ねることが重要です。

ドキュメント化の際に確認したいポイントは次のとおりです。

  • 目的や背景が冒頭で簡潔に説明されているか
  • 用語の定義が整理されているか
  • 業務フローや画面イメージなど、図で説明できる部分は図になっているか
  • 機能ごとに前提条件や例外条件が明記されているか
  • 非機能要件が別枠で整理されているか

レビューの場では、次のような観点でチェックします。

  • 読み手が変わっても同じ解釈になるか
  • 実現が難しそうな要件が紛れ込んでいないか
  • 他の要件と矛盾していないか
  • 受け入れテストの観点から見て、判定可能な書き方になっているか

要件定義書の品質については、国際標準やガイドラインでも、内容の完全性や矛盾のなさ、優先度の明確さなどが重視されています(出典:IEEE公式サイト)。(IEEE Computer Society)
判断基準としては、「この文書だけを渡されても、開発チームがテスト観点まで含めて設計を始められるか」を意識するとよいでしょう。

代表的な要件項目の分類(業務・機能・非機能など)

要件を整理するときは、性質の異なる項目を混ぜずに分類しておくと、漏れや重複を見つけやすくなります。
代表的な分類の例は次のとおりです。

  • 業務要件:対象業務、業務フロー、関与する部署や役割
  • 機能要件:画面、バッチ処理、帳票、外部連携などの機能
  • 非機能要件:性能、可用性、セキュリティ、運用・保守などの品質
  • データ要件:マスタやトランザクション、データ保持期間など
  • 制約条件:予算、スケジュール、既存システムとの整合など

判断基準としては、「この分類に沿って見直したときに、どこかのカテゴリが極端に薄くなっていないか」を確認することです。
たとえば、機能要件ばかり詳しく書かれており、非機能要件がほとんど書かれていない場合、後から性能不足やセキュリティ要件の不足が問題になる可能性があります。

現場では、「性能や運用はあとでインフラ側で何とかしてくれるだろう」という認識から、非機能要件を十分に書かないままプロジェクトが進むことがあります。
しかし、非機能要件はアーキテクチャ選定にも影響するため、早い段階で整理しておくことが望ましいとされています(出典:IPA公式サイト)。(ipa.go.jp)

つまずきやすい場面と対処の考え方

要件定義の現場でよくつまずくポイントと、その原因、対処の考え方をいくつか紹介します。

1つ目は、「要件が増え続けて終わりが見えない」というケースです。
原因としては、目的や優先度が十分に共有されていないことが多く、思いついた要望をすべて要件として扱ってしまうことが挙げられます。
この場合、目的とKPIにどのように貢献するかを基準に、「必須」「できれば欲しい」「今回はやらない」といった区分で整理すると効果的です。

2つ目は、「現場の要望が抽象的で、要件として落とし込めない」というケースです。
たとえば「もっと使いやすくしてほしい」「見やすい画面にしてほしい」といった要望は、そのままでは要件になりません。
ここでは、「どの作業にどのくらい時間がかかっているか」「どんなときにストレスを感じるか」といった具体的な状況をヒアリングし、行動レベルの要件に落とし込むことがポイントです。

判断基準としては、「テストで合否判定できる表現になっているか」が重要です。
「使いやすい」ではなく「1画面で1日の業務が完結する」「入力必須項目は10項目以下」といった形にすると、開発側と利用側の認識をそろえやすくなります。

要件定義の品質を高める判断基準とよくある課題

最後に、要件定義の品質をどのように評価し、どんな失敗パターンに注意すべきかを整理します。
ここを押さえておくと、チェックリストの使い方やレビューの観点がより明確になり、プロジェクト全体のリスクを下げることができます。

良い要件定義を見分ける判断基準

良い要件定義かどうかを判断する際には、次のような観点がよく用いられます。

  • 一貫性:前後の記述に矛盾がないか
  • 完全性:重要な領域に大きな抜けがないか
  • 明確性:あいまいな表現ができるだけ排除されているか
  • 検証可能性:テストで合否を判断できる表現になっているか
  • 追跡可能性:要件と目的、テスト項目の対応関係が分かるか

判断基準として特に重要なのは、「後工程のメンバーが迷わずに作業を始められるか」です。
設計・開発・テストの担当者が要件定義書を読んで、具体的な作業イメージを持てる状態になっていれば、品質は一定レベルに達しているとみなせます。

ある調査では、要件の不備を運用段階で修正するコストは、要件定義段階で修正する場合の数十倍になると報告されています(出典:NTT関連技術資料)。(ntt-review.jp)
その意味でも、要件定義の品質を意識的に評価し、早い段階で手当てすることが重要です。

失敗パターンと注意しておきたい誤解

要件定義の現場でよく見られる失敗パターンと、そこから生まれる誤解をいくつか挙げます。

  • 「要件定義はベンダーがやってくれる」という誤解
    業務の目的や将来のビジョンは、ベンダーだけでは決められません。
    発注側も主体的に関わる必要があります。
  • 「現行システムと同じ機能があればよい」という誤解
    現行の課題を十分に洗い出さないまま、同じ機能をなぞるだけだと、投資効果が限定的になります。
  • 「全部書き切ってからレビューすればよい」という誤解
    大量の文書を一度にレビューしても、抜け漏れの発見が難しくなります。
    小さな単位でこまめにレビューした方が効果的です。

判断基準としては、「要件定義の活動自体が、ビジネスとITの対話の場になっているかどうか」が重要です。
単に文書を作る作業になってしまっている場合、関係者の本音や暗黙の前提が表に出てこないため、後から大きな齟齬が表面化しやすくなります。

要件定義の進め方と手順チェックリストに関するよくある質問

Q.要件定義の期間はどのくらいを目安にすべきでしょうか
A.プロジェクトの規模や複雑さによって大きく変わります。
期間だけで決めるのではなく、「目的と範囲が明確になったか」「主要な業務フローと要件が整理されたか」といった達成状態を基準に判断するのがおすすめです。

Q.すべての要件を最初から決め切らないといけませんか
A.多くの場合、最初から細部まで決めるのは現実的ではありません。
優先度の高い領域から先に固め、残りはマイルストーンごとに詳細化していく進め方もよく採用されています。

Q.ドキュメントのテンプレートは必須でしょうか
A.テンプレートがあると抜け漏れを減らしやすくなりますが、現場に合っていないと形骸化します。
自社のプロジェクトに合わせて、必要な章立てやチェック項目を少しずつ調整していくのがおすすめです。

Q.要件定義の段階でツールや製品を決めてしまってもよいですか
A.ツールや製品選定は、要件との整合性を確認しながら進める必要があります。
先に製品ありきで考えると、無理に要件を製品に合わせてしまうリスクがあるため、選定理由と要件の対応関係を整理しておくことが大切です。

要件定義の進め方と手順チェックリストのまとめ

・要件定義のゴールは関係者全員が同じ完成イメージを共有できる状態にすること
・要件定義は目的整理から始まり現状把握と課題整理を経て要件を具体化していくプロセスとして捉える
・ビジネス要件ユーザー要件システム要件などの用語をチーム内で統一しあいまいな表現を避ける
・事業責任者現場担当者システム部門ベンダーなど関係者の役割と意思決定範囲を最初に明確にしておく
・標準的な手順を用意し前のステップの成果物が次のステップで活用されているかを常に確認する
・ヒアリングでは目的質問項目参加者議事録の扱いなどを事前にチェックリストで準備しておく
・合意形成では誰が何を決めるかと決まらなかった事項の扱い方を決めておくことで議論を進めやすくする
・ドキュメント化では目的背景用語定義非機能要件などを整理し図や表も使って分かりやすく記載する
・レビューでは一貫性完全性明確性検証可能性などの観点から要件定義書をチェックする
・業務要件機能要件非機能要件データ要件制約条件といった分類で漏れや重複を確認する
・要件が増え続ける場合は目的やKPIへの貢献度を基準に必須と任意と今回はやらないに整理する
・抽象的な要望は具体的な業務シーンや行動レベルの課題に分解してテスト可能な要件に落とし込む
・良い要件定義かどうかは後工程のメンバーが迷わず作業を開始できるかを基準に評価する
・要件定義は文書作成ではなくビジネスとITが対話し共通理解を深める場として設計することが重要になる
・チェックリストを自社向けにカスタマイズし定期的に見直すことで要件定義の品質と再現性を高めていく

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次