新しいツールを導入しようとしたときに「API連携ができます」と書いてあるものの、そもそもAPIが何なのか、何ができるのかがよく分からず手が止まってしまうことはありませんか。
この記事では、専門用語をできるだけ減らしながら、APIの基本的な意味と、ビジネスや日常での具体的な活用イメージを整理します。
・APIとは何かを専門用語なしでイメージできる
・APIでどんなことができるのか代表的な例が分かる
・自社や自分の仕事でAPIを使うべきかの判断軸が持てる
・API活用でつまずきやすいポイントと注意点を理解できる
APIの基本をやさしく解説
ここでは、APIという言葉の意味と役割を整理しながら、難しい数式やプログラムコードに踏み込まずに全体像をつかむことを目指します。
まずはざっくりイメージをつくっておくと、後で具体例を見たときに理解しやすくなります。
APIとは何かを一言で言うと
APIは、「あるソフトウェアの機能を、外部から決められた窓口経由で使わせてもらうための仕組み」です。
別の言い方をすると、サービス同士やアプリ同士が会話するための共通ルールのようなものです。
例えば、スマホの天気アプリは、自分で世界中の天気を観測しているわけではありません。
多くの場合、気象情報を提供するサービスのAPIにアクセスし、「東京の今日の天気を教えて」と決められた形式で問い合わせを行い、その結果を画面に表示しています。
人間同士でも、窓口の人に「この書類のコピーを3部ください」と決められた言葉でお願いすると、相手はルールどおりに動いてくれます。
APIも同じで、「この形式で情報を渡せば、こういう結果が返ってくる」という決まりごとをまとめたものだと考えるとイメージしやすくなります。
APIの仕組みと役割をイメージで理解する
APIの典型的なイメージとして、「レストランの注文」に例えられることがよくあります。
利用者はメニューを見て注文を伝え、キッチンの内部でどのように調理しているかは知らなくても、料理を受け取れます。
このとき、注文票や店員の役割をしているのがAPIです。
実際のシステムでも、利用側は内部のプログラム構造やデータベースの中身を知らなくても、APIの決まりに沿ってリクエストを送ることで、必要な情報や処理結果を受け取れます。
これにより、内部の仕組みを隠しつつ、外部に必要な機能だけを安全に公開できる点が大きな役割です。
APIには、Webブラウザやサーバーを通じてインターネット越しにやり取りするWeb APIのほか、OSやライブラリが提供するAPIなど、さまざまな種類があります。
いずれも、「外から使える窓口」としての役割は共通しています。
APIの代表的な種類を整理する
APIという言葉は広く使われますが、現場でよく話題に上がるのは主に次のような種類です。
- Webサービスが提供するAPI
例:地図サービス、決済サービス、チャットツール、CRMなどの外部連携機能 - OSやプログラミング言語のAPI
例:ファイルの読み書き、ネットワーク通信、画面表示などを行うための関数群 - ライブラリやSDKのAPI
例:クラウドサービスや機械学習サービスを簡単に使うための開発キット
ビジネスの場で「このツールはAPI連携に対応しています」と書かれているときは、多くの場合、他のサービスや自社システムから利用できるWeb APIを指しています。
APIを理解するうえでの判断基準(どこまで知れば十分か)
非エンジニアの立場でAPIを理解したい場合、全部を細かく把握する必要はありません。
最低限、次の4点が分かっていれば、ツール選定や業務設計の会話には参加しやすくなります。
- APIを使うとどんな情報のやり取りができるか
- 誰がどの立場で使うか(自社のシステム側か、外部サービス側か)
- どんな場面で便利になるか(自動化・連携・一元管理など)
- セキュリティや権限の考え方(公開範囲やアクセスキーの扱いなど)
逆に、APIの詳細仕様書に書かれたすべての項目や、プログラムコードの細部まで理解する必要があるかどうかは、担当範囲によって変わります。
要件の整理やツール選定が仕事の中心であれば、「何ができて、何はできないのか」を会話レベルで把握できれば十分な場合が多くなります。
APIに関するよくある誤解と注意点
APIを理解するときに、次のような誤解が生まれやすいです。
- 「APIがあれば何でも連携できる」と考えてしまう
- 「API対応=設定だけで簡単に繋がる」と想像してしまう
- 「無料で公開されているから、制限なく使ってよい」と受け取ってしまう
実際には、APIごとに利用条件や制限回数、料金体系が決まっていることが多く、使い方を誤ると想定外の費用が発生することもあります。
また、APIの仕様変更やサービス側の都合で、将来的に挙動が変わる可能性もあります。
現場では、API対応と書かれているツールを導入したものの、「実現したい連携は、このAPIでは対応していなかった」というケースも少なくありません。
事前に「どのデータ項目が、どの方向に連携できるのか」を仕様で確認しておくことが大切です。
APIでできることと具体的な活用例
ここからは、APIを使うと実際に何ができるのかを、具体的なシーンを交えて見ていきます。
これにより、「自分の仕事のどこに当てはまりそうか」をイメージしやすくなります。
結論:API活用の要点3つ
APIでできることは多岐にわたりますが、ビジネスの現場での活用は大きく次の3つに整理できます。
1つ目は、データの連携と同期です。
顧客情報や注文情報、在庫情報などを、複数のシステム間で自動的にやり取りすることで、二重入力や転記ミスを減らせます。
2つ目は、機能の追加や拡張です。
自社システムに決済機能や地図表示機能、メッセージ送信機能などを後から組み込むときに、外部サービスのAPIを呼び出して活用するパターンがあります。
3つ目は、業務フローの自動化です。
特定のイベントをきっかけにAPIを呼び出して、通知送信やファイル作成、レポート作成などを自動で行うことで、人手の作業を減らせます。
この3つの観点で自社の業務を見直すと、「ここはAPIで効率化できそう」というポイントが見つかりやすくなります。
ビジネスでよくあるAPI活用例
ビジネスの現場でよく見られるAPI活用例として、次のようなものがあります。
- ECサイトと在庫管理システムの連携
商品の在庫数をAPIで同期し、売り切れ・在庫過多を防ぐ - 会計ソフトと請求書発行サービスの連携
取引データを自動連携して、請求書作成を自動化する - マーケティングツール間の連携
Webフォームで集めたリード情報を、CRMやメール配信ツールへAPI経由で登録する
例えば、ある企業では、顧客がWebフォームから資料請求をすると、APIを通じてCRMに顧客データが登録され、同時にメール配信ツールのリストにも自動追加されるようにしているケースがあります。
現場では、このようなAPI連携により、営業リストの作成やメール送信の手作業が大幅に減る事例が多く見られます。
日常生活で触れているAPIの身近な例
APIはビジネスシーンだけでなく、日常生活の中でも頻繁に使われています。
- 地図アプリで飲食店を検索するときに表示されるレビュー情報
- 天気アプリで表示される降水確率や予報
- 乗換案内アプリで表示される運行情報や遅延情報
- SNSアプリから別サービスへ写真を共有するときの投稿連携
例えば、スマホで「近くのカフェ」を検索すると、地図サービス、店舗情報、クチコミサービスなど複数のサービスがAPIを通じて情報をやり取りしています。
利用者は意識していなくても、裏側ではさまざまなAPIが連携して一つの画面を構成しているイメージです。
API連携ツールを使うか開発するかの判断基準
APIを活用したいとき、「既存の連携ツールを使うか」「自前で開発するか」という選択があります。
判断の目安として、次のような観点があります。
- 要件が一般的で、既存の連携ツールでほぼ満たせるか
- 変更頻度がどのくらいあるか(業務フローが頻繁に変わるか)
- 内製で開発・保守を担当できる人材がいるか
- セキュリティや運用上、外部サービスに任せてよい範囲か
多くの場合、まずはノーコード・ローコードの連携ツールを使って小さく試し、必要に応じて一部を自前開発に移していく形が現実的です。
現場でも、最初からすべてを独自開発するのではなく、「既存の連携サービス+一部カスタム」の組み合わせで進めるケースがよく見られます。
実務でよくあるつまずきポイントと対策
APIを使った連携を進める際、実務では次のようなポイントでつまずきやすくなります。
- 想定していたデータ項目がAPIで取得できない
- 一度に取得できる件数や、1日の呼び出し回数に制限がある
- 時差やタイムゾーンの扱いでデータがずれる
- エラー時の挙動(リトライや失敗通知)が決まっていない
対策としては、単に「API対応」という言葉だけで判断せず、API仕様書にある項目と、自社の要件を1つずつ照らし合わせることが大切です。
また、テスト環境やサンドボックス環境が用意されている場合は、本番導入前に小さなサンプルデータで動作確認を行うと、想定外の挙動に気づきやすくなります。
実務の現場では、「仕様書上はできそうに見えたが、実際のデータ量や運用フローを考えると現実的ではなかった」という経験談も多く聞かれます。
早い段階で小さな試行を行い、問題点を洗い出す姿勢が重要です。
APIをうまく活用するための考え方
最後に、APIを実際の業務やサービスに組み込む際に押さえておきたい考え方と、注意すべきポイントをまとめます。
ここを理解しておくと、API連携の検討や、社内での合意形成がスムーズになりやすくなります。
APIを導入するときに確認したいこと
APIを導入・活用するときは、次のような観点で確認しておくと、後からの手戻りを減らせます。
- 連携したいデータとAPIで扱えるデータが一致しているか
- リアルタイム性がどの程度必要か(数秒単位か、1日1回でよいか)
- 将来的なデータ量や利用頻度の増加に耐えられるか
- サービス提供側のサポート体制や、仕様変更時の案内が整っているか
例えば、顧客情報を毎回リアルタイムに同期する必要があるのか、それとも1日に1回のバッチ連携で十分なのかによって、選ぶサービスや設計が変わります。
また、サービス側のAPI仕様が急に変わると、自社側の改修が必要になる場合もあるため、運用の体制やコストも合わせて検討することが重要です。
セキュリティと権限まわりで注意したい点
APIを利用する際は、セキュリティと権限の扱いにも注意が必要です。
多くのWeb APIでは、アクセスキーやトークンと呼ばれる認証情報を使って、誰がどの権限でアクセスしているかを識別します。
これらを第三者に知られてしまうと、不正利用や情報漏えいにつながる可能性があるため、社内でも取り扱いを限定し、ログの管理や権限の分離を意識することが求められます。
また、APIを通じて取得したデータの保管場所や利用目的も、社内規程や契約上の取り決めに沿って管理する必要があります。
特に個人情報や機微なデータを扱う場合は、必要最小限の項目だけを連携する設計にするなど、リスクを抑える工夫が有効です。
よくある質問
Q1:APIを使うにはプログラミングが必須ですか?
A:APIの細かな呼び出しを自前で実装する場合はプログラミングが必要になりますが、最近はノーコード・ローコードツールや、あらかじめ用意された連携アプリを使ってAPIを間接的に利用できるケースも増えています。
非エンジニアでも、設定画面で連携先と項目を選ぶだけでAPIを使える場合があります。
Q2:API連携を検討するとき、最初に何を確認すればよいですか?
A:まず「どのシステムから、どのシステムへ、どのデータを、どのタイミングで渡したいのか」を整理することが重要です。
そのうえで、候補となるサービスのAPI仕様や、提供されている連携機能がその要件を満たしているかを確認します。
Q3:APIを使うときの費用はどのように発生しますか?
A:サービスによって異なりますが、月額料金にAPI利用が含まれているものや、一定回数までは無料で、それを超えると追加料金が発生するものなどがあります。
利用量が増えると費用も増える場合があるため、想定するトラフィックやデータ量を踏まえて料金体系を確認しておくことが大切です。
Q4:APIを使うとシステムが複雑になりませんか?
A:API連携が増えると、システム同士のつながりが複雑に見えることはあります。
そのため、どのシステムがどのAPIでどのデータをやり取りしているのかを図示し、変更履歴や連携の目的を合わせて記録しておくと、運用・保守がしやすくなります。
APIとは何かとできることのまとめ
・APIはソフトウェア同士が決められた窓口経由で会話するための仕組み
・内部の仕組みを隠しつつ外部に必要な機能だけを公開できるのがAPIの役割
・ビジネス現場ではWebサービスが提供するAPIが特によく使われる
・非エンジニアはAPIで何ができて何ができないかを会話レベルで把握できれば十分な場面が多い
・API活用はデータ連携機能追加業務自動化の三つに整理すると考えやすい
・EC在庫管理会計マーケツールなどの間でAPI連携が広く活用されている
・日常生活でも地図天気乗換SNS連携など多くの場面でAPIが裏側で動いている
・API連携は既存ツールの活用と自前開発のどちらが適切かを要件と体制で判断する
・API仕様書の項目と自社の要件を一つずつ照らし合わせることがつまずき防止になる
・API導入前に小さなテスト連携で挙動や制限を確認しておくと手戻りを減らせる
・導入時は連携するデータリアルタイム性将来のデータ量などを確認する
・アクセスキーやトークンなど認証情報の扱いには十分な管理と権限制御が必要になる
・個人情報など機微なデータは必要最小限の項目だけをAPIで連携する設計が望ましい
・API連携が増えるほど関係図や変更履歴を文書化しておくことが運用の安定につながる
・APIの基本とできることを押さえることでツール選定業務設計の議論に参加しやすくなる
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