外注をお願いしたいのに、どこまで細かく仕様書を書けばいいのか分からず、依頼の手が止まっている人は少なくありません。
ざっくりした要望だけで進めてしまい、納品後に「思っていたのと違う」と感じた経験がある人もいるはずです。
この記事では、外注依頼に使える仕様書テンプレートと、そのまま真似できる記入例をまとめて紹介します。
・外注依頼における仕様書の役割と基本の考え方
・仕様書テンプレートの具体的な項目と代表パターン
・案件別にテンプレートを選び分ける判断基準と注意点
・依頼文テンプレや進行管理のコツとトラブル予防策
外注依頼で失敗を減らすための仕様書の基本
外注依頼の多くは、最初のすり合わせが不足していることで行き違いが生まれます。
そのギャップを埋める役割を持つのが仕様書です。
ここでは、仕様書の役割や全体像を押さえつつ、この記事の読みどころを整理します。
結論:外注依頼の要点とこの記事の読みどころ
外注依頼で大きく失敗するケースは、極端に「丸投げ」か、逆に細かすぎて相手の裁量を奪ってしまう場合が多いです。
仕様書は、相手に伝えるべきことと任せる部分の境界線を決める道具と考えると整理しやすくなります。
この記事では、次の3点を軸に説明します。
- 何を書けば外注先に伝わりやすい仕様書になるか
- 案件タイプごとのテンプレートの使い分け方
- 実際の依頼文と仕様書例を参考にしながら、自分の案件へ落とし込む方法
現場では、仕様書を一度作ってから案件ごとに少しずつ流用している発注者が多く、慣れるほど作業が楽になる傾向があります。
外注依頼における仕様書の役割と前提
仕様書は、単なる指示メモではなく、完成品のイメージをすり合わせる設計図です。
内容があいまいだと、納期・品質・料金すべてに影響が出ます。
一般的に仕様書は、次のような役割を持ちます。
- 依頼内容を可視化し、認識を合わせる
- 見積もりの根拠を共有する
- 作業範囲と責任範囲を明確にする
- 修正や追加対応の判断材料にする
たとえば「LPを作ってください」だけでは、ページ長さ、構成、原稿の有無、画像の準備など、前提条件が何も共有されていません。
その結果、外注先は安全側に見積もらざるを得ず、費用も納期も読みにくくなります。
たとえば、
「トップページと同じ雰囲気で、新商品の紹介LPを1ページ」
「テキストは自社で用意するので、構成とデザインのみ依頼したい」
といったレベルまで書いておくと、外注先もイメージを持ちやすくなります。
外注依頼全体の流れと仕様書の位置づけ
外注依頼の流れを一度整理しておくと、仕様書に何を書けばよいかが決めやすくなります。
一般的な流れの一例は次のとおりです。
- 目的とゴールを言語化する
- 作業範囲とスケジュールを決める
- 仕様書のドラフトを作る
- 候補の外注先に提示し、相談しながら調整する
- 契約・発注を行う
- 進行管理・レビュー・修正対応を行う
仕様書は「3〜4」のタイミングで主に使われますが、その後の修正対応や成果物の評価にも使われるため、案件の最初から最後まで影響を与える文書だと考えるとよいです。
外注の進め方を解説する企業の公式コンテンツでも、仕様や要件の書面化が重要なポイントとして紹介されることが多く見られます(出典:制作会社公式サイト)。
現場では、最初の1件目だけ手間をかけて仕様書を作り、その後は類似案件のベースとして流用する運用がよく見られます。
よくある誤解とトラブルパターン
外注依頼でたびたび起こるトラブルには、似たパターンがあります。
代表的なものとして、次のようなケースがあります。
- 「プロなら言わなくても分かるだろう」と前提を共有しない
- 仕様書に書いていない変更を途中で追加し、トラブルになる
- 想定ターゲットやNG例を伝えず、成果物のテイストが合わない
- スケジュールだけが先に決まり、中身の仕様があいまいなまま進行してしまう
たとえば、文章のトーンについて何も伝えていない状態で、納品された記事に対して「もっとくだけた感じで」と後から変更を求めると、追加費用や関係性の悪化につながりがちです。
こうした齟齬は、仕様書にOKな例とNGな例を1〜2個書いておくことで、かなり減らせるケースが多いです。
案件別仕様書テンプレと記入例の作り方
ここからは、実際に使いやすい仕様書テンプレートと、その記入例の作り方を見ていきます。
まずは全体像を把握し、次に自分の案件に近いパターンを選ぶ流れで読むとスムーズです。
仕様書テンプレートの基本構成と代表パターン
多くの案件で共通して使える、ベースの仕様書テンプレートは次のような項目構成になります。
- 案件名
- 目的・ゴール
- 想定ターゲット
- 納品物の内容・形式
- ボリューム(文字数・ページ数など)
- スケジュール(納期・マイルストーン)
- 参考例・参考資料
- NG事項・注意点
- 予算・支払い条件
- 連絡方法・連絡頻度
この基本形をもとに、次のような代表パターンに分けて使うと整理しやすくなります。
- 記事制作・ライティング系
- デザイン・バナー・LP制作系
- システム開発・改修系
- 事務作業・リサーチ系
たとえば、ライティングでは、読んでほしいターゲット像と読後にとってほしい行動を詳しく書くことで、成果物の質に直結しやすくなります。
一方、事務作業やリサーチ系では、作業手順やツールの指定、納品形式などの細かい条件を整理しておくことが重要です。
同じテンプレートでも、どの項目に重点を置くかで使い方が変わります。
案件別に仕様書テンプレートを選び分ける判断基準
どのテンプレートを使うかは、次の観点で選ぶと判断しやすくなります。
- 成果物の種類
(テキストか、デザインか、システムか) - 仕様の自由度
(細かく決まっているのか、提案も含めて任せたいのか) - 発注側のリテラシー
(どこまで専門用語を理解しているか) - 予算や納期の柔軟性
(どの項目を優先したいか)
たとえば「デザインはプロに任せたいが、ブランドの世界観は外せない」という場合は、仕様書の中で色・フォント・雰囲気などの必須条件を明記し、それ以外を提案ベースにする形が向いています。
逆に、既存システムの軽微な改修のように仕様が固まっている案件では、画面名や処理内容などをできるだけ具体的に書く必要があります。
このように、どこを発注側が決めていて、どこを相手に任せるのかを先に整理することが、テンプレ選びの大きな基準になります。
実際に使える仕様書テンプレート例(ライティング案件)
ライティング案件向けの仕様書テンプレート例を、簡略版で紹介します。
【案件名】
自社サービス紹介記事の作成
【目的・ゴール】
自社サービスの特徴を分かりやすく紹介し、問い合わせ数を増やしたい
【想定ターゲット】
中小企業のマーケティング担当者
デジタル施策に興味はあるが、専門用語が苦手な層
【納品物の内容・形式】
・文字数:3,000〜3,500文字程度
・形式:WordまたはGoogleドキュメント
・画像選定:フリー素材の候補を3点ほど提案してほしい
【記事の構成イメージ】
- 読者の悩みの提示
- 課題の深掘り
- 自社サービスの特徴紹介
- 導入事例(あれば)
- 問い合わせへの導線
【トーン&マナー】
・です・ます調
・専門用語には短い補足をつける
・堅すぎず、やわらかすぎないビジネス寄りの文章
【参考URL・参考資料】
・サービス概要資料(別途共有)
・既存のブログ記事(トーンの参考)
【NG事項】
・競合他社名の記載
・過度に煽る表現
【スケジュール】
・構成案提出:○月○日
・初稿提出:○月○日
・修正対応:1回まで想定
【予算・支払い条件】
・30,000円前後(税抜)
・請求書払い
実務では、このようなフォーマットをベースに、案件ごとに不要な項目を削ったり、逆に補足項目を追加したりして使われることが多いです。
ライティング案件を多数扱うクラウドソーシングサービスでも、似た構成の依頼フォームが採用されていることがあります(出典:クラウドソーシングサービス公式サイト)。
実際に使える仕様書テンプレート例(デザイン・開発案件)
デザインや開発案件では、視覚情報や機能仕様が多く、文章だけでは伝わりにくい場合があります。
そのため、仕様書には可能な範囲でワイヤーフレームや画面キャプチャ、既存デザインなどを添付するのが一般的です。
たとえば、LPデザインの仕様書では次のような項目がよく使われます。
- ページの目的(資料請求・購入・問い合わせなど)
- 想定ユーザーと流入経路
- ページの構成要素(ファーストビュー、特徴、実績、FAQなど)
- 既存サイトやブランドガイドライン
- 使用したいカラーコードやフォントの指定
- スマホ・PCどちらを優先するか
システム開発の場合は、これに加えて、
- 対応ブラウザやOS
- 処理フローや画面遷移図
- 既存システムとの連携有無
- テスト範囲とテスト方法
などを整理しておくと、見積もりの精度が上がります。
開発案件では、仕様書の書き方に関するガイドラインを公開している企業もあり、要件定義の例やチェックリストが提示されていることがあります(出典:IT企業公式ドキュメント)。
仕様書テンプレートを使うときの注意点
テンプレートは便利ですが、そのまま埋めるだけではうまくいかない場合もあります。
注意したいポイントは次のとおりです。
- テンプレートのすべての項目を「必須」と思い込み過ぎない
- 分からない項目は、正直に「相談したい」と書いておく
- 依頼側の内部事情(社内事情や政治的な背景)は、必要な範囲に留める
- 相手にとって分かりにくい専門用語は、簡単な言葉に置き換える
たとえば、システム開発で「この処理はレガシーな部分なので…」とだけ書いても、外注先には具体的な影響が伝わりません。
「既存コードの品質が低く、想定外のバグが出る可能性があるため、調査時間を多めに見てほしい」といった形で書き換えると、見積もりへの反映もしやすくなります。
外注依頼を成功させるコミュニケーションと注意点
最後に、仕様書テンプレートだけではカバーしきれない、コミュニケーション面のコツと注意点をまとめます。
仕様書がしっかりしていても、やり取りの仕方次第で成果物の質は大きく変わります。
外注先への依頼文テンプレとコミュニケーションのコツ
仕様書は詳細な設計図ですが、その前に送る依頼文(募集文・メッセージ)も重要です。
依頼文がそっけないと、良い外注先ほど応募を控えることもあります。
シンプルな依頼文テンプレの例です。
はじめまして。
○○を運営している△△と申します。
このたび、【案件名】をお手伝いいただける方を探しています。
概要は以下のとおりです。
・目的:□□を実現したい
・内容:□□の作成
・ボリューム:□□
・希望納期:□□
詳細は添付の仕様書にまとめました。
ご興味をお持ちいただけましたら、
1)これまでのご実績(近い案件があれば)
2)おおよその見積もり額
3)スケジュール感
を含めてご連絡いただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
会話のイメージとしては、
発注側「初回は小さめの案件で進めて、問題なければ継続もお願いしたいと考えています」
受注側「ありがとうございます。継続を見据えて、最初から進め方をすり合わせさせてください」
のように、お互いの意図が伝わるやり取りを意識すると、長期的な関係構築にもつながります。
仕様書を渡したあとの進行管理と修正依頼
仕様書を渡して発注したあとも、進行管理と修正依頼の仕方で成果物のクオリティは大きく変わります。
一般的には、次のようなポイントが重視されます。
- 中間レビューのタイミングを決めておく
- フィードバックは感想ではなく「理由付き」で伝える
- 修正依頼は過去ログが追える形(チャットやコメント)で残す
たとえば、
「なんとなくイメージと違います」
よりも、
「ターゲットは初学者なので、専門用語の前に一文で簡単な説明を入れてほしいです」
と伝えるほうが、外注側は具体的な修正アクションに落とし込めます。
実務では、最初の1〜2案件でフィードバックの型を作り、それをテンプレート化している発注者も多いです。
契約・著作権・料金まわりで気をつけたいポイント(一般論)
契約や著作権、料金の取り決めは、法的な解釈も絡む領域です。
ここでは、発注者側の一般的な視点として、よく確認されるポイントだけを整理します。
- 成果物の著作権や利用範囲を契約書ややり取りの中で明確にしておく
- 再利用・二次利用の可否を確認しておく
- 追加修正が発生した場合の料金ルールを決めておく
- キャンセル時の取り決め(着手後の中止など)を共有しておく
特に、画像やイラスト、ソースコードの扱いは、後からトラブルになりやすい部分です。
外注や下請けに関する契約の考え方については、公的機関や支援機関がガイドラインを公開している場合があり、参考資料として利用されることがあります(出典:公的支援機関公式サイト)。
最終的な契約条件や法的な扱いは、状況に応じて専門家や自治体の窓口などに相談したうえで決めることが望ましいです。
よくある質問
Q.仕様書をどれくらい細かく書けばいいですか。
A.案件や相手のスキルによって異なりますが、自分以外の社内メンバーが読んでも内容が分かる程度を目安にすると、過不足が少ない傾向があります。
Q.仕様書がまだ粗い段階で見積もりを依頼してもいいですか。
A.問題ない場合も多いですが、その際は「現時点の想定」であることを明記し、仕様が固まった段階で正式見積もりをお願いする形が一般的です。
Q.テンプレートを使って書いた仕様書を、外注先と一緒に更新してもよいですか。
A.外注先の知見を取り入れてブラッシュアップすることで、次の案件からの使い勝手が良くなることが多いです。
仕様書は固定された書類ではなく、プロジェクトごとに進化させていく前提で扱うとよいです。
Q.相見積もりをするときの仕様書は、どこまで共有しても大丈夫ですか。
A.社外秘の情報や個人情報などは伏せつつ、作業内容やゴール、スケジュールはなるべく同じ条件で共有するほうが、公平な比較がしやすくなります。
外注依頼の仕様書テンプレートについてのまとめ
・仕様書は外注先との認識を合わせるための設計図
・丸投げでも細かすぎてもなく適度な粒度を意識する
・目的とゴールを最初に言語化してから仕様書を書く
・成果物の種類ごとにテンプレートを使い分けていく
・ライティング向け仕様書はターゲットと構成が重要
・デザインや開発案件では図やキャプチャを添付する
・どこまで任せてどこまで指定するか線引きを決める
・分からない項目は無理せず相談事項として明記する
・依頼文テンプレで印象と情報量のバランスを整える
・中間レビューとフィードバックのルールを決めておく
・修正依頼は理由と意図を添えて具体的に伝えていく
・著作権や利用範囲は契約書や合意内容で明確にする
・追加修正やキャンセル時の料金条件も共有しておく
・テンプレートは案件ごとに更新し資産として育てる
・最終判断は専門家や窓口に相談しながら進めていく
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