仕事の振り返りをしようとして会議室に集まったものの議論がとりとめもなく終わり次回に何を変えるか決まらないまま解散してしまった経験はないでしょうか。
KPTを使うと振り返りの枠組みが決まるため短時間でも「良かったこと」「課題」「次に試すこと」を整理しやすくなります。
ただやり方やテンプレートがあいまいなまま始めると付箋が並ぶだけで行動につながらないことが多いです。
この記事ではKPT振り返りの基本から具体的な進め方チームと個人で使えるテンプレートまで順番に整理していきます。
・KPTで振り返りを行う目的と基本の考え方
・KPT振り返りの具体的なステップと進め方
・チームと個人で使えるKPTテンプレート例
・KPTが形骸化しない工夫とよくある失敗対策
KPTで振り返りを行う基本と考え方
KPTはKeep Problem Tryの頭文字を取った振り返りのフレームワークです。
仕事やプロジェクトを「続けること課題次に試すこと」の三つに分けて整理することで改善ポイントを見つけやすくなります。
まずはKPTで何を得たいのか全体像をつかむことが大切です。
KPTで振り返りをする目的とメリット
KPTの一番の目的はうまくいった点と課題を分けて言語化し次の一歩を具体的に決めることです。
「良かったか悪かったか」の感想だけで終わらせず次の行動に変えるところに意味があります。
よくあるシーンとしては次のようなものがあります。
「新機能リリース後のふりかえりで担当者がそれぞれ大変だったことを話すだけで終わり結局次の改善が決まらなかった」
このときKPTを使うと
「テスト観点の共有は良かったのでKeep」
「レビュー依頼が直前になりがちなのはProblem」
「次回はレビュー期限をスケジュールに明記するTry」
といった形で話が整理されます。
現場ではKPTを繰り返すことでメンバー同士の学びが共有されやすくなりチーム全体の改善速度が上がると言われています。
またネガティブな話だけで終わらないため振り返りへの心理的ハードルが下がる傾向もあります。
KPTの基本構成と用語の意味
KPTの三要素は次の通りです。
- Keep
うまくいった点続けたい取り組みを挙げる欄です。
「お客様から好評だった」「期限を守れた」などポジティブな事実を書き出します。 - Problem
課題やうまくいかなかった点を挙げる欄です。
感情ではなく事実ベースで書くことがポイントです。 - Try
次回以降に試してみたい具体的な行動を書きます。
ここが次の改善計画にあたります。
一般的にはホワイトボードやオンラインホワイトボードを三つの枠に分けて付箋やカードを貼っていきます。
シンプルな構成なので新しいメンバーにも説明しやすく新人研修などでもよく使われています。
振り返りKPTの全体像と流れ
KPTで振り返りを行うときの全体の流れはおおよそ次のようになります。
- テーマと対象期間を決める
- 各自でKeep Problem Tryを書き出す
- グルーピングや補足をしながら共有する
- Tryとして実行することを絞り優先順位を決める
- 次回確認するポイントを決めて終了する
ポイントは最初に「何について振り返るのか」を具体的に決めることです。
「今月のチーム運営」「今回のイベント」「直近スプリント」など範囲が広すぎると話が散らかりがちです。
例えば「今月のインサイドセールス活動」というテーマであれば
「初期ヒアリングの流れ」「メールテンプレの反応」「日々のミーティングの回し方」など具体的なKeepやProblemが出やすくなります。
KPTと他の振り返り手法との位置づけ
振り返りの手法にはYWTや4Lsなどさまざまな型がありますがKPTはその中でも構造が分かりやすくチームにも個人にも使いやすい型と言われています。
特にアジャイル開発やプロジェクトマネジメントの現場では代表的な手法として紹介されることが多いです(出典:KPT法に関する企業公式サイト)。
他の手法と比べたときの特徴は次のようになります。
- Keepがあるためポジティブな面から振り返りを始めやすい
- Problemが明確に分かれているため課題の棚卸しに向いている
- Tryが行動レベルで書かれるため次の計画に接続しやすい
一方で感情の整理やチームの雰囲気に重点を置きたい場合にはKPTだけでは足りないこともあります。
その場合は最初に「今回良かった気持ちを一言ずつ共有する」など別の要素を組み合わせる方法もよく使われています。
KPTが向く場面と向かない場面の判断基準
KPTが特に向いているのは次のような場面です。
- プロジェクトやイベントの振り返り
- 定期的な業務の改善ミーティング
- 毎週のチームふりかえりやスプリントレトロスペクティブ
共通するのは継続的に改善していきたい仕事があることです。
KeepとTryを継ぎ目なくつなげることで小さな改善を積み上げていけます。
一方で次のような場面ではそのままKPTを使うとまとめにくい場合があります。
- 一度きりの出来事で次回に活かす場面が少ないとき
- 個人のキャリアや人生全体を深く振り返りたいとき
- 感情面の整理や関係性の修復が主目的のとき
このようなケースではKPTにこだわりすぎず他の手法や対話の場と組み合わせるほうが現実的です。
どの手法を選ぶかは「次の行動をどれくらい具体化したいか」「どこまで感情に踏み込みたいか」といった軸で判断すると考えやすくなります。
KPT振り返りの具体的なやり方とテンプレート
ここからは実際にKPTで振り返りを行うときの進め方とテンプレートを紹介します。
チームでも個人でも基本の流れは同じですが人数や目的によって見直したいポイントが変わります。
自分たちの状況をイメージしながら必要な部分だけを取り入れていくのがコツです。
KPT振り返りの準備と前提条件
KPTをうまく回すには始める前の準備が大切です。
最低限押さえておきたい前提は次の通りです。
- テーマと対象期間を明確にする
例「四半期のマーケティング施策」「今月の新人研修」などです。 - 目的を共有する
「次の施策の成功率を上げたい」「チームのムダを減らしたい」などゴールを簡単に言葉にしておきます。 - 時間と進行役を決める
30〜60分程度に区切り誰が進行するかをあらかじめ決めておきます。
現場では目的と時間があいまいなまま始めてしまい話が脱線してしまうケースがよくあります。
そのため進行役は最初に「今日は今月のカスタマーサポート対応をKPTで振り返り来月試すことを三つ決めるのがゴールです」といった形で宣言しておくとスムーズです。
またチームで行う場合は心理的安全性を確保することも重要です。
「人を責めるのではなく事実ベースで話す」「発言を途中で否定しない」など簡単なルールを決めてから始めると意見が出やすくなります(出典:厚生労働省 労働者の心の健康の保持増進のための指針)。
KPT振り返りの基本ステップ(手順)
KPT振り返りは次のステップで進めると迷いにくくなります。
- サイレントで各自がK P Tを書き出す
- Keepを共有し良かった点を確認する
- Problemを共有しグルーピングする
- Tryの候補を出し優先順位を決める
- 実行するTryを決め担当と期限を明確にする
特に大事なのは最初のサイレントタイムです。
いきなり話し始めると声の大きい人の意見に引っ張られやすくなります。
「最初の五分は一人で付箋を書き出してください」と区切ることで全員の視点が出やすくなります。
例えばカスタマーサポートチームの例では次のようになります。
- Keep
「返信テンプレの更新頻度を週一にしたことで最新情報が共有できた」 - Problem
「難しい問い合わせが同じ担当に偏ってしまった」 - Try
「難易度の高い問い合わせをチャンネルで共有しローテーションで対応する」
このように一連の流れを毎月繰り返すと改善サイクルが自然と回るようになります。
チームと個人で使えるKPTテンプレート例
ここではチーム用と個人用の両方で使えるシンプルなテンプレートを紹介します。
基本の枠は共通ですが項目の数や書き方を少し変えるだけで使いやすさが変わります。
チームで使うKPTテンプレート例
チームで使う場合の基本テンプレートは次のようなイメージです。
- テーマ
- 期間
- 参加メンバー
- Keep欄
- Problem欄
- Try欄
- 決定したTryと担当者
実際のフォーマット例は次の通りです。
- ページ上部に「テーマ期間ゴール」を記載する
- 中央に縦三列の表を作り左からKeep Problem Tryの見出しを入れる
- 会議の最後に一番下に「決定したTry担当者期限」を書く欄を用意する
オンラインホワイトボードを使う場合はテンプレートとして保存しておくと毎回同じ型で振り返りができます。
現場では「誰が何をするのかが分からないまま終わった」という声がよく出るためテンプレートの中に担当者と期限の欄を入れておくと抜け漏れを防ぎやすくなります。
個人で使うKPTテンプレート例
個人用の場合はもう少しシンプルで構いません。
- 日付
- テーマ
- Keep三つまで
- Problem三つまで
- Try一〜三つ
という形にすると一日の終わりや週末にも書きやすくなります。
例えば日報の一部として次のように書くイメージです。
- テーマ
「本日の商談準備」 - Keep
「事前ヒアリングシートを送付して質問が整理できた」 - Problem
「提案資料の作成に時間がかかり過ぎた」 - Try
「よく使うスライドをテンプレ化し使い回せる形にする」
この程度のボリュームであれば五分もあれば書けるため継続しやすいです。
KPT振り返りでよくあるつまずきと対策
KPTはシンプルな反面やり方を誤解すると形だけの振り返りになってしまいます。
現場でよく起きるつまずきと対策を整理します。
- Keepに何も出てこない
課題ばかりに意識が向いているとKeepが白紙になりがちです。
その場合は「参加者全員が当たり前だと思っていること」から振り返ると良いです。 - Problemが不満の吐き出しになる
「営業が遅い」「開発が対応してくれない」など人への不満が並ぶと雰囲気が悪くなります。
人ではなく事象を書くことをルールにし「見積もりの回答に平均三日かかっている」など事実に置き換えるようにします。 - Tryが増えすぎて実行されない
たくさん書き出したくなりますが実行されないTryは意味がありません。
一回の振り返りで確実にやるTryは多くても三つ程度に絞るほうが現実的です。
また経験上「毎回同じProblemが出てくるのにTryが変わらない」ということもよくあります。
その場合はなぜ実行できなかったのかを次回のKPTで話題にし前提条件から見直していくことが大切です。
KPT振り返りの質を高める工夫と継続のコツ
KPTを続けるうちに「マンネリ化してきた」「同じことしか出てこない」という悩みも出てきます。
質を高めるための工夫として次のような方法があります。
- 最初に「今回の一番の学び」を全員に一言ずつ話してもらう
- Problemの前に「事実だけを書き出す時間」を設ける
- Tryを決めるときに「やめること」を一つ含める
また振り返りのたびにテンプレートを少しずつ調整していくのも有効です。
例えば「リスクに関する項目を一行追加する」「Try欄の近くに次回確認日を書く欄を作る」といった小さな変更を重ねることで自分たちに合ったKPTの型が育っていきます。
継続のコツは時間と場所をルーティン化することです。
「毎週金曜の午後に三十分だけKPTを行う」「月初の定例の最後十分をKPTに充てる」などカレンダーに固定枠として組み込んでしまうと続けやすくなります(出典:厚生労働省 テレワーク総合ポータルサイト)。
よくある質問
Q KPTは毎回三つずつ書かなければいけませんか。
A 無理に数をそろえる必要はありません。
テーマによってはKeepが一つだけのこともあればTryが多く出ることもあります。
大事なのは量よりも内容の具体性です。
Q Tryが実行されなかったときはどうすればよいですか。
A 責めるのではなく「なぜ実行できなかったのか」を一緒に振り返ることが大切です。
前提が変わっていたのかリソースが足りなかったのかなど理由を言語化し次のTryを調整します。
Q 上司や他部署が参加する場でもKPTは使えますか。
A 使えますが事前の期待値合わせが重要です。
事実ベースで話すこと守秘すべき内容は持ち込まないことなど最低限のルールを共有しておくと安心です。
Q オンライン会議でもKPTは機能しますか。
A 付箋ツールやオンラインホワイトボードを使えばオンラインでも実施できます。
発言しづらいメンバーにはチャットでの投稿もOKにするなど参加しやすい仕組みを用意すると良いです。
振り返りをKPTで行うやり方のまとめ
・KPTはKeep Problem Tryの頭文字からなる振り返り手法
・Keepはうまくいった点を次回も続ける項目
・Problemは課題や不満を具体的な事実で洗い出す
・Tryは次回試したい行動を小さく具体的に決める
・KPTの目的は学びを言語化し改善を継続すること
・KPT振り返りは目的と時間を最初に共有して始める
・付箋やオンラインボードで意見を見える化して整理する
・チームのKPTは発言しやすい雰囲気作りが特に重要になる
・個人KPTは一日の終わりや週末に短時間で習慣化しやすい
・Problem指摘は人ではなく事象に焦点を当てて書き出す
・Tryは多くても三つ程度に絞り確実に実行できる形にする
・つまずきやモレは次回のKPTで必ず振り返り原因を確認する
・テンプレートは目的やメンバー数に合わせて柔軟に調整する
・KPTを繰り返すことで業務改善と心理的安全性の向上が期待できる
・まずは小さなテーマでKPTを試し自分たちに合う型を育てていく
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