社内で最新版ファイルが見つからず、部門ごとに別クラウドを使っていて「どれが正式版か分からない」という状況に困っていませんか。
ツールごとの得意分野や料金体系、セキュリティの考え方を整理して比較すれば、自社に合うオンラインストレージが見えてきます。
ここでは代表的なGoogle Drive、Dropbox、Boxを軸に、法人が比較するときの判断基準を分かりやすく解説します。
・法人でオンラインストレージを比較するときの基本的な視点が分かる
・Google Drive・Dropbox・Boxそれぞれの特徴と向いている企業像が分かる
・自社に合うサービスを選ぶための判断基準とチェックポイントが分かる
・乗り換えや併用を検討するときの注意点やよくある誤解が分かる
法人でオンラインストレージを比較するときの基本視点
オンラインストレージは、どのサービスも「どこからでもファイルにアクセスできる」点では似ています。
しかし、法人利用ではセキュリティや管理機能、共同編集のしやすさ、料金体系など、見るべきポイントがいくつもあります。
まずは、自社の状況とよくある誤解を整理しながら、三社比較を進めるための前提を共有しておきましょう。
結論:自社の働き方で向き不向きが分かれる
結論から言うと、どのサービスが一番優れているかではなく、自社の働き方と相性が良いかどうかが重要です。
日常的にGoogleドキュメントやスプレッドシートを使う文化ならGoogle Driveが自然にフィットします。
ファイル同期の軽快さやシンプルさを重視するチームにはDropboxが好まれる傾向があります。
厳格なセキュリティやコンプライアンス要件がある業種では、エンタープライズ向け機能が豊富なBoxが選ばれることが多いです。(Google Workspace)
現場では、
「営業はスマホで資料をすぐ開きたい」
「管理部門は権限管理をしっかりやりたい」
といったニーズが同時に存在します。
こうした部門ごとの要望をどうバランスさせるかが、サービス選定の大きなポイントになります。
比較の前に整理しておきたい自社の要件
比較表を見る前に、次のような項目を社内で整理しておくと選びやすくなります。
- 従業員数と、ストレージを本格的に使う人数
- 外部の取引先やパートナーとどの程度ファイル共有するか
- 既に利用しているグループウェアやメールの種類
- 情報セキュリティポリシーや業界規制の有無
- IT専任担当者の有無と、運用に割ける工数
多くの企業では、ここを曖昧にしたまま「とりあえず有名なサービスを試してみる」という流れになり、後から容量不足や権限設計の変更で苦労するケースが見られます。
最初に要件を言語化しておくことで、試用期間中のチェックポイントも明確になります。
よくある誤解と注意したいポイント
法人利用で特に多い誤解が、個人向けプランと法人向けプランの違いを軽く考えてしまうことです。
個人向けプランは、管理者機能や監査ログ、組織単位での権限管理などが十分でない場合があります。
そのまま業務で使い続けると、退職者のアカウント管理や情報漏えいリスクが見えにくくなることがあります。
また、ストレージ容量だけでサービスを決めてしまうのも注意が必要です。
Google WorkspaceやDropbox Businessなどは、プランごとにストレージ容量だけでなく、セキュリティや管理機能も変わります。
容量が十分でも、監査ログやDLP(情報漏えい防止)などが足りないと、後から上位プランへの切り替えが必要になることがあります。(出典:Google Workspace プラン比較|https://support.google.com/a/answer/6043385)(出典:Dropbox Business 製品ページ|https://www.dropbox.com/business) (Googleヘルプ)
現場でよく見られるのが、
「無料プランで始めてみたら、社内でバラバラに複数サービスが立ち上がってしまった」
というパターンです。
最初から法人向けプランを前提に、どのサービスを標準として採用するか決めておくと、後々の整理コストを抑えやすくなります。
Google Drive・Dropbox・Boxの特徴と違い
ここからは、代表的な三つのサービス、Google Drive(Google Workspace)、Dropbox、Boxについて、特徴と向いている企業像を整理します。
どれもクラウドストレージとしての基本機能は備えているため、細かな違いではなく「どの領域が得意か」に注目するのがポイントです。
Google Drive(Google Workspace)の特徴と向いている企業
Google Driveは、メール(Gmail)やカレンダー、ビデオ会議(Google Meet)などを含むGoogle Workspaceの一部として提供されるオンラインストレージです。
WordやExcelに相当するドキュメント、スプレッドシート、スライドなどをブラウザ上で共同編集できる点が大きな特徴です。(出典:Google Workspace – Drive|https://workspace.google.com/products/drive/) (Google Workspace)
管理者は共有ドライブを使って、部署単位でファイルを一元管理したり、組織部門ごとに共有ポリシーを設定したりできます。(出典:Manage data policies for shared drives|https://support.google.com/a/answer/7337635) (Googleヘルプ)
プランによって、組織全体で共有されるプール型ストレージ容量や高度なセキュリティ機能が変わる仕組みになっています。(出典:Google Workspace プラン比較|https://support.google.com/a/answer/6043385) (Googleヘルプ)
向いているケースの一例
- 既にGmailやGoogleカレンダーを業務で利用している
- ブラウザ上での共同編集を日常的に行いたい
- 社外との共有はあるが、まずは社内コラボレーションの効率化を優先したい
多くの企業で、営業が外出先からスマホで提案資料を開き、その場で修正を加えて社内メンバーと共有する使い方が定着しています。
ドキュメント中心の働き方をしている企業ほど、Google Driveの利便性を感じやすいといえます。
Dropboxの特徴と向いている企業
Dropboxは、シンプルなインターフェースと高い同期性能で知られるオンラインストレージです。
PCのローカルフォルダとほぼ同じ感覚でファイルを扱えるため、ファイルサーバーの代替として導入されるケースが多くあります。(出典:Dropbox 機能概要|https://www.dropbox.com/features) (Dropbox)
法人向けのDropbox Businessでは、チームフォルダや高度な共有設定、ファイル復元、バージョン履歴などを備え、一定以上のプランでは数TBクラスからの大容量ストレージが提供されます。(出典:Dropbox Business 製品ページ|https://www.dropbox.com/business)(出典:Secure Dropbox Storage|https://www.dropbox.com/features/security) (Dropbox)
管理者は共有リンクの権限や有効期限、パスワード保護などを細かく設定でき、チーム全体のセキュリティポリシーも管理できます。(出典:Customize security for Dropbox teams|https://help.dropbox.com/security/customize-security) (Dropboxヘルプセンター)
向いているケースの一例
- 既存のWindowsファイルサーバーから、クラウドに置き換えたい
- デザインデータや動画など、大容量ファイルを頻繁に扱う
- 直感的な操作性を重視し、研修コストを抑えたい
現場では、
「フォルダ構成は従来のファイルサーバーとほとんど同じで、バックアップも兼ねられる」
といった声が多く、ファイルベースのワークフローを大きく変えずにクラウド化したい企業に向いています。
Boxの特徴と向いている企業
Boxは、企業向けコンテンツ管理とコラボレーションに特化したオンラインストレージです。
エンタープライズグレードのセキュリティやコンプライアンス対応、他の業務システムとの連携の豊富さが特徴とされています。(出典:Box 公式サイト|https://www.box.com/home) (box.com)
機密性の高い情報を扱う組織向けに、詳細なアクセス制御やログ管理、外部サービスとのセキュリティ連携機能が強化されてきています。(出典:Box Security Partnerships Press Release|https://www.boxinvestorrelations.com/news-and-media/news/press-release-details/2022/Box-Announces-New-Security-Partnerships-and-Features-to-Protect-Content-in-the-Cloud/default.aspx) (boxinvestorrelations.com)
そのため、金融や医療、公共機関など、規制の厳しい業種で採用されることが多い傾向があります。
向いているケースの一例
- 業界規制や社内規程が厳しく、詳細な権限・ログ管理が求められる
- 他の業務システムと連携しながら、文書管理やワークフローを構築したい
- 海外拠点や外部パートナーを含む大規模なコラボレーション基盤が必要
例えば、承認フローを含む契約書管理や、複数の外部ベンダーと共同でプロジェクトを進めるケースなどで、Boxの細かな権限設計とガバナンス機能が活きることが多くあります。
代表的な比較ポイント(機能・コスト・サポート)
三社を比較するときに、よく用いられる軸は次のようなものです。
- 機能:共同編集機能の充実度、バージョン管理、検索性
- セキュリティ・管理:権限の細かさ、ログ管理、DLPなど
- 料金体系:ユーザー単価、ストレージ容量、追加ストレージのしやすさ
- サポート:日本語サポートの有無、チャネル、対応時間帯
一般的には、Google Driveはコラボレーション重視、Dropboxは使いやすさと同期性能重視、Boxはセキュリティとコンプライアンス重視という整理がよく用いられます。
ただし、プランやオプションによって実際に使える機能は変わるため、最新の公式情報で確認しつつ比較表を見ることが重要です。(出典:Google Workspace Pricing|https://workspace.google.com/pricing)(出典:Dropbox Business 製品ページ|https://www.dropbox.com/business)(出典:Box 公式サイト|https://www.box.com/home) (Google Workspace)
現場の感覚としては、
「複数サービスを試用して、部門ごとに一番しっくりくるものをヒアリングする」
という進め方が多く見られます。
机上の機能比較だけでなく、実際のユーザー体験も含めて評価することが、失敗を減らすコツです。
自社に合う法人向けオンラインストレージの選び方
最後に、三社の特徴を踏まえたうえで、実際にどのように選び分けていくかを整理します。
ここでは、判断基準の優先順位付けと、セキュリティ・共同編集・既存システムとの相性といった観点から考えていきます。
判断基準:優先順位の決め方
まず、次の三つの観点のどれを最優先するかを決めると、選定が進めやすくなります。
- セキュリティ・ガバナンス
- 日々の業務効率(共同編集・モバイル利用など)
- コストと運用負荷
例えば、「セキュリティ最優先」ならBoxや上位プランのGoogle Drive/Dropboxを候補にし、
「共同編集と手軽な運用」を重視するならGoogle DriveやDropboxを優先的に検討する、といったイメージです。
評価の場では、IT部門だけでなく、営業・管理・現場など複数部門から代表者を集め、
「それぞれの部門で何が一番困っているか」
「どの機能があると業務が楽になるか」
をヒアリングしながら優先順位を決めると、導入後の満足度が高くなる傾向があります。
セキュリティと共同編集、どちらをどこまで重視するか
セキュリティ面では、三社とも暗号化やアクセス権限管理、ログの取得など基本的な仕組みを備えています。
ただし、データ分類や自動ポリシー適用、外部サービスとの連携など、エンタープライズ向けの高度な機能は、Boxや上位プランのGoogle Workspace、Dropbox Businessでより充実している場合があります。(出典:Google Workspace – Drive|https://workspace.google.com/products/drive/)(出典:Secure Dropbox Storage|https://www.dropbox.com/features/security)(出典:Box Security Partnerships Press Release|https://www.boxinvestorrelations.com/news-and-media/news/press-release-details/2022/Box-Announces-New-Security-Partnerships-and-Features-to-Protect-Content-in-the-Cloud/default.aspx) (Google Workspace)
一方、共同編集や日常業務のしやすさを重視する場合、ブラウザ上でのリアルタイム編集に強いGoogle Driveや、ローカルフォルダ感覚で扱えるDropboxの方が現場に受け入れられやすいケースも多くあります。
「セキュリティ要件を満たしたうえで、どの程度の使いやすさを確保するか」が、バランスをとるうえで重要です。
例えば、
- 高度な機密情報はBoxで厳格に管理
- 一般的な業務資料はGoogle Driveで共同編集
- クリエイティブデータはDropboxで同期・バックアップ
といったように、用途ごとにサービスを使い分ける企業もあります。
ただし、サービスを増やしすぎるとガバナンスが弱くなるため、標準となるサービスを1つ決め、そのうえで例外的に使い分ける方が管理しやすくなります。
既存システム・運用との相性をチェックする
オンラインストレージは単独で使うだけでなく、メールやチャット、グループウェア、業務システムとの連携も重要です。
既にMicrosoft 365やGoogle Workspaceなどの基盤を導入している場合、それらとの連携や運用負荷も考慮する必要があります。
例えば、
- 既にGoogle Workspaceを利用している場合、Google Driveを中心に据えるとID管理や請求処理を一本化しやすい
- 既存のオンプレファイルサーバーを段階的にクラウド移行したい場合、DropboxやBoxの移行ツール・パートナー支援が役立つことがある
また、情シス担当者の人数やスキルによっても、運用しやすいサービスは変わります。
「どのサービスが一番高機能か」ではなく、「限られた体制で運用しやすいか」も重要な判断基準です。
よくある質問
Q. まずは1つだけ選ぶべきですか、それとも複数併用してもよいですか。
A. 中長期的には、標準のサービスを1つ決めておいた方が管理しやすいです。
ただし、移行期間や特定部門の要件などに応じて、一時的に複数サービスを併用するケースもあります。
Q. セキュリティを重視するなら、どのサービスがよいですか。
A. どのサービスも基本的なセキュリティ機能を持っていますが、より高度なコンプライアンスやガバナンスが求められる場合は、Boxや各社の上位プランが検討対象になることが多いです。
最終的には、自社のセキュリティポリシーと照らし合わせて判断する必要があります。
Q. 将来の容量不足が心配です。どう考えればよいでしょうか。
A. 容量単価だけでなく、追加ストレージのしやすさや、古いデータのアーカイブ方針も合わせて検討するとよいです。
容量拡張が柔軟なプランや、アーカイブ用の別サービスを組み合わせる選択肢もあります。
オンラインストレージを法人で比較するときのまとめ
・まず自社の働き方とセキュリティ要件を整理してから候補サービスを見る
・Google Driveは共同編集とGoogle Workspace連携を重視する企業に向く
・Dropboxは同期性能とシンプルな操作性を優先したい企業に向く
・Boxは厳格なセキュリティやコンプライアンスが必要な組織に向く
・容量だけでなく管理機能やログ取得などのガバナンスも比較対象に含める
・料金はユーザー数と実際の利用パターンから総コストで評価する
・既存のメールやグループウェアとの連携と運用負荷を事前に確認する
・部門ごとのニーズをヒアリングし優先順位を合意形成しておく
・試用期間中に共有ルールとフォルダ構成のたたき台を作って検証する
・標準で使うサービスを1つ決め例外的に他サービスを補完的に使う
・個人向けプランでの業務利用は管理やセキュリティの観点で慎重に扱う
・導入後もアクセス権限や共有リンク設定を定期的に棚卸しする
・サービスのアップデートや新プラン情報を確認し継続的に見直す
・最終的な選定はIT部門だけでなく利用部門も巻き込んで決める
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