「年収400万円って、実際の手取りはいくらなんだろう?」
転職サイトや求人票を見ながら、こんな疑問を持ったことはないでしょうか。
多くの人が「年収=自分が自由に使えるお金」と誤解しがちですが、実際の生活に使えるのは、税金や社会保険料が差し引かれた「手取り」です。
この記事では、年収と手取りの違いを、専門用語をできるだけ使わずに解説します。
ざっくり計算のイメージも交えながら、「自分の年収だと、どれくらい手取りがあるのか」「転職や家計管理ではどの数字を見ればいいのか」がスッとわかる状態を目指します。
・年収と手取りが具体的にどう違うのか
・給与明細や源泉徴収票のどこを見れば年収と手取りが把握できるか
・年収から手取りをざっくりイメージする考え方
・転職や家計管理の場面で、年収と手取りをどう使い分ければよいか
基礎理解・前提
まずは「年収」と「手取り」という言葉の意味をしっかり整理します。
給与明細や源泉徴収票のどの数字がどれにあたるのかを押さえながら、両者の関係性をイメージできるようにしていきましょう。
結論:年収と手取りの違いを一言で
•年収:会社から支払われるお金の総額(税金・社会保険料を引く前のお金)
•手取り:税金や社会保険料が引かれた後に、実際に自分の口座に振り込まれるお金
一言でいうと、「年収は「額面の数字」、手取りは「実際に使えるお金」です。
転職サイトや求人広告に書いてあるのはほとんどが「年収」で、家賃や生活費の計算で本当に使うべきなのは「手取り」です。
たとえば、飲み会で友人が「俺、年収500万あるんだ」と言っているとき、
その500万がまるごと自由に使えるわけではなく、そこから税金や保険料、年金などが引かれます。
手元に残るのは、ざっくり言えば年収の約8割前後というイメージを持っておくと、生活設計の感覚がつかみやすくなります。
年収とは?源泉徴収票ベースでざっくり理解
年収とは、1年間に会社から支払われた額面の給与の合計です。
基本給だけでなく、残業代・各種手当・ボーナスなども含めた総額を指します。
会社員の場合、年収は源泉徴収票の「支払金額」の欄に書かれている数字がベースになります。
たとえば、
- 月給 25万円(額面)
- ボーナス 年2回で合計 50万円
の場合、
25万円 × 12ヶ月 + 50万円 = 350万円 が「年収」のイメージです。
ここでポイントなのは、
- まだ税金や社会保険料が引かれる前の「総額」であること
- 手取りよりも大きな数字になるため、見た目が少しよく見えやすいこと
です。
転職サイトや求人票では「年収350万〜450万円」といった表記がよくありますが、
あれはあくまで額面ベースの合計なので、そのまま生活費として使える金額ではない、という前提を持っておくと安心です。
手取りとは?実際に使えるお金という視点で整理
一方の「手取り」は、年収(額面)から、税金や社会保険料などを差し引いた後、実際に自分の口座に振り込まれる金額を指します。
毎月の給与で言えば、給与明細の一番下に書かれている「振込金額」や「差引支給額」がいわゆる手取りです。
引かれている主なものは、
- 所得税
- 住民税(前年の所得に応じて決まる)
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 会社によっては、社内積立や寮費・食堂利用料など
などです。
たとえば、額面25万円の給与明細を見てみると、
「控除欄」に税金や保険料がズラッと並び、最終的な振込額が20万円前後になることも珍しくありません。
この「20万円」が、家賃や食費、通信費などに実際に使える「手取り」です。
つまり、生活のやりくりは年収ではなく手取りを基準に考えるべき、ということを押さえておきましょう。
年収と手取りの共通点・関係性
年収と手取りは、別々の言葉ですが、完全にバラバラな概念ではありません。
イメージ的には、
年収(額面)
↓ 税金・社会保険料などを差し引く
手取り(実際に使えるお金)
という「親子関係」のようなものです。
共通点としては、
- どちらも「1年間で、どれくらいお金を稼いでいるか」を表す指標
- 転職やライフプランの相談で、セットで語られることが多い
- どちらも給与明細や源泉徴収票から読み取ることができる
といったことが挙げられます。
カフェでの会話をイメージすると、
- Aさん「今、年収は400万くらいかな」
- Bさん「じゃあ手取りは月だと20万ちょいくらい?」
というように、年収はお金の全体像、手取りは生活実感に近い数字として使われているケースが多いです。
両者の関係性がわかっていると、この手の会話もすんなりイメージしやすくなります。
給与明細・源泉徴収票のどこを見れば年収と手取りがわかるか
年収と手取りを正しく把握するには、給与明細と源泉徴収票の見方をざっくり押さえておくと便利です。
毎月の給与明細では、
- 上のほうに「支給」欄(基本給、残業代、各種手当など)
- 中ほどに「控除」欄(税金、社会保険料など)
- 一番下に「差引支給額」(=その月の手取り)
が書かれているのが一般的です。
「差引支給額」が、1ヶ月の手取りです。
一方、年末にもらう源泉徴収票では、
- 「支払金額」:1年間の給与の総額 → 年収の目安
- 「源泉徴収税額」:1年間に引かれた所得税の合計
などが記載されています。
1年間の手取りをざっくり知りたい場合は、
- 毎月の手取り × 12ヶ月 + ボーナスの手取り合計
という計算をするとイメージしやすいです。
「なんとなくのお金の流れ」をつかんでおくだけでも、家計管理や転職の判断がだいぶしやすくなります。
違いの整理・使い分け
次に、年収と手取りの違いを比較表やざっくり計算例を使って整理します。
転職・ローン・家計管理など、実際のシーンでどの数字を基準に考えるべきか、具体的な使い分けまで解説します。
年収と手取りの違いを比較表で整理
ここまでの内容を、表にして整理してみます。
| 項目 | 年収 | 手取り |
|---|---|---|
| 意味 | 税金・社会保険料を引く前の総額 | 各種控除を引いた後に残る実際の受取額 |
| 出てくる場所 | 転職サイト、求人票、源泉徴収票の「支払金額」 | 給与明細の「差引支給額」、銀行の入金額 |
| 見た目の大きさ | 大きく見える(額面) | 小さく見えるが実生活に直結 |
| 使う場面 | 年収レンジの比較、ローン審査、税金の話 | 家計管理、生活費の計算、貯金計画 |
| 誤解しやすい点 | 「この金額が全部使える」と思いがち | 「年収より少ないから損している」と感じやすい |
このように、どちらが正しい/間違っているという話ではなく、用途が違うだけです。
求人やローンの話では年収が使われ、
毎月の生活費や貯金額を考えるときは、手取りをベースに考えるのが基本スタンスになります。
ざっくり計算イメージ:年収から手取りを計算してみる
「じゃあ、自分の年収から手取りはどれくらいになるの?」という疑問が出てくると思います。
厳密な計算は所得控除や扶養状況によって変わりますが、ここではあくまでざっくりイメージとして考えてみましょう。
たとえば、
- 年収 300万円 → 手取りイメージ:およそ 230万〜240万円
- 年収 400万円 → 手取りイメージ:およそ 300万前後
- 年収 500万円 → 手取りイメージ:およそ 370万〜390万円
といった感覚です(独身・会社員・標準的な控除の場合のザックリ感覚)。
月あたりに直すと、年収400万円の場合、
- 年収400万 ÷ 12ヶ月 ≒ 月額 約33.3万円(額面)
- 手取りはそこから税金・社会保険料を引いて、月約24〜26万円前後
というイメージになります。
この感覚があると、転職サイトで「年収400万」と書かれていても、
「実際に毎月使えるのは、手取りで25万円前後なんだな」とすぐに頭の中で変換できるようになります。
家賃を決めるときや、車のローンを組むときなど、年収の数字だけに惑わされないための大事な視点です。
ライフプランや転職活動での「年収」と「手取り」の使い分け
実務的には、年収と手取りは次のように使い分けるのがおすすめです。
ライフプラン(家計管理)のとき
- 家賃や生活費、貯金額を考えるときは、手取りベースで考える
- 「手取りの3割を家賃に」「手取りの2割を貯金に」といったルールが立てやすい
転職活動のとき
- 応募先に伝える希望条件は「年収ベース」で話す(例:年収400万以上を希望しています)
- ただし、自分の中では「手取りで毎月◯万円は欲しい」というボーダーラインを持っておく
社内の評価・昇給のとき
- 上司や人事との面談では「年収レンジ」で話が進みやすい
- 一方で、生活がどれくらい楽になるかの実感は、手取りの増減を見ないとわからない
たとえるなら、年収は商品の定価、手取りは実際に使える金額のようなものです。
どちらも大事ですが、生活に直結するのは手取りのほうだという感覚を忘れないようにしましょう。
初心者がよくする年収と手取りの勘違い
年収と手取りについて、初心者がしがちな勘違いをいくつか挙げておきます。
勘違い1:年収が増えれば、その分だけ手取りも同じ割合で増える
→ 実際には、年収が上がると税率も少し上がるため、手取りの増え方は年収ほど大きくありません。
「年収50万円アップ=手取りも50万円アップ」とは限らない点に注意が必要です。
勘違い2:同じ年収なら、どの会社でも手取りはほぼ同じ
→ 社会保険料率や福利厚生、社内積立などで、会社ごとに手取りは意外と異なります。
たとえば「食堂代が給与天引きになる会社」と「現金払いの会社」など、見た目の手取りに差が出ることもあります。
勘違い3:ボーナスは全額自由に使えるお小遣い
→ ボーナスも、もちろん税金や社会保険料が引かれます。
「ボーナス額面100万円」と聞くとワクワクしますが、手取りとして受け取れるのはそれより少ない額になります。
大きな買い物をする前には、ボーナスの額面ではなく手取り見込みで計画を立てることが大切です。
年収・手取りに関するよくある質問(FAQ)
Q1. 転職エージェントに手取りで希望年収を伝えてもいいですか?
A. 基本的には、年収(額面)ベースで伝えるのが一般的です。
ただし、「今の手取りが◯万円で、生活の都合上、手取りで◯万円以上欲しいです」と補足するのは有効です。
エージェントが、年収と手取りの関係を踏まえて会社と調整してくれるケースもあります。
Q2. 住宅ローンやクレジットカードの審査は、年収と手取りのどちらが見られますか?
A. 多くの場合、申込書に書くのは「年収」です。
ただし、実際に返済できるかどうかを考えるときは、自分の中では「手取りベース」で慎重に判断すべきです。
年収が高くても、手取りに対して返済額が重すぎると、生活が苦しくなってしまいます。
Q3. 年収が同じでも、扶養家族がいると手取りは変わりますか?
A. はい、変わります。
扶養家族がいると、所得税や住民税の計算に使われる「控除」の額が変わるため、手取りも変動します。
同じ年収400万円でも、「独身」と「配偶者・子どもあり」では、実際の手取りが違うことがあります。
まとめ:年収と手取りの違いと押さえておきたいポイント
最後に、年収と手取りの違いと、実務での押さえどころをまとめます。
- 年収は額面の総額、手取りは実際に使えるお金
- 転職・ローン・社会的な評価は、主に「年収」ベースで語られやすい
- 生活費や貯金計画、家計管理は、「手取り」を基準に考えるのが現実的
- 同じ年収でも、税金・社会保険・扶養状況などによって、手取りは人によって変わる
求人票を見たり、年収の話をするときは、目に入る大きな数字だけで判断してしまいがちです。
しかし、本当に大事なのは、「毎月いくら手元に残るのか」「そのお金でどんな生活設計ができるのか」という点です。
これからは、年収の数字を見たときに、頭の中で「だいたい手取りはこのくらいかな」とイメージしてみてください。
それだけでも、転職やライフプランの判断が、ぐっと現実的でブレにくいものになっていくはずです。
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