深夜のレポート提出前に検索順位レポートを見たとき、上司から「最近のコアアップデートで落ちたのはE-E-A-Tが弱いから?」と聞かれて答えに詰まった経験はないでしょうか。
なんとなく聞いたことはあるけれど、結局何をすればいいのか、どこまで重視すべきなのかが分からないまま対策を任されている担当者は少なくありません。
この記事では、そうしたモヤモヤを整理し、実務で迷わないためのE-E-A-Tの考え方と押さえどころを解説します。
・E-E-A-Tの基本概念とSEOでの位置づけ
・4つの要素それぞれで何を示せばよいかの具体像
・どの程度E-E-A-Tを重視すべきかの判断基準
・小規模サイトでも今日からできる改善アクション
E-E-A-Tの基本とSEOでの位置づけ
E-E-A-TはSEOの現場でよく耳にする言葉ですが、目的を整理すると理解しやすくなります。
ここでは「何を目指す考え方なのか」と「検索順位との距離感」を先に押さえておきます。
社内でのコミュニケーションで説明に困りがちなポイントも、あわせて整理していきます。
E-E-A-Tの結論と要点3つ
最初に結論から整理すると、E-E-A-Tの要点は次の3つにまとめられます。
- ユーザーにとって信頼できる情報かどうかを判断するための考え方であること
- Experience・Expertise・Authoritativeness・Trustの4つの観点からページ品質を見る枠組みであること
- 検索順位を直接決める「単一の指標」ではなく、品質を評価するためのフレームワークであること
たとえば社内で次のような会話が起きることがあります。
「E-E-A-Tの点数が低いから順位が落ちたんですよね?」
「いえ、点数のようなものがあるわけではなく、コンテンツの信頼性を評価する考え方だと捉えたほうが近いです」
このように、E-E-A-Tを「チェックリスト」や「点数」と誤解してしまうと、実装すべき施策を間違えやすくなります。
E-E-A-Tの意味と4つの要素
E-E-A-Tは、Experience(経験)・Expertise(専門性)・Authoritativeness(権威性)・Trust(信頼性)の頭文字を並べた略語です。
Googleは、人に役立つコンテンツを評価する際に、これら4つの観点を組み合わせて判断すると説明しています(出典:Google 検索セントラル)。 (Google for Developers)
それぞれの要素は次のようなイメージです。
- Experience(経験):実際にその商品を使った、現場でサービスを提供しているなど、体験に基づく具体性があるかどうか
- Expertise(専門性):資格や職歴だけでなく、そのテーマについて深い知識やスキルが伝わる内容かどうか
- Authoritativeness(権威性):他サイトからの言及やメディア掲載など、第三者から「その分野ならここ」と認識されているかどうか
- Trust(信頼性):誤情報がないか、運営者情報や問い合わせ先が明示されているかなど、安心して情報を利用できるかどうか
Googleはこの4つの中でも特にTrust(信頼性)を中心に置いており、他の3つは信頼性を支える要素と位置づけています(出典:Google 検索セントラル)。 (Google for Developers)
なぜ今E-E-A-TがSEOで注目されるのか
E-E-A-Tが注目される背景には、誤情報や質の低いコンテンツが増えたことがあります。
検索結果に不正確な情報が並ぶと、ユーザーだけでなく検索エンジン側の信頼も損なわれてしまいます。
Googleは、人手による評価を通じてアルゴリズムが望ましい結果を返しているかを確認する仕組みを持っており、その評価の基準としてE-E-A-Tが用いられています(出典:Search Quality Rater Guidelines)。 (guidelines.raterhub.com)
この「評価」が、長期的にはアルゴリズムの改善に影響を与えるため、結果としてE-E-A-Tを意識したサイト作りがSEOでも重要になっていきます。
現場では、コアアップデート後に「単に記事数を増やすだけでは戻らない」「筆者情報や運営情報を整えたあとに徐々に回復した」といったケースがよく見られます。
こうした事例も、量よりも品質、とくに信頼性が重視される流れを裏付けています。
E-E-A-Tをどこまで重視するかの判断基準
E-E-A-Tへの力の入れ方は、扱うテーマによって変わります。
Googleは、健康やお金、安全など、人生への影響が大きいテーマ(いわゆるYMYL)については、特に高いレベルのE-E-A-Tを求めると説明しています(出典:Google 検索セントラル)。 (Google for Developers)
判断の目安は次のようになります。
- 生活や健康、資産に影響するテーマ:E-E-A-Tを最優先し、専門家の監修や厳密な事実確認を徹底する
- BtoBの導入検討など、金額が大きい意思決定:事例・実績・第三者評価を厚くして信頼性を高める
- コラムや読み物系のライトなテーマ:最低限の正確さを確保しつつ、体験や独自性を強める
どのジャンルであっても、誤情報や誇大表現を避け、ユーザーが安心して読める内容にすることが前提です。
そのうえで、自社のビジネスにとって影響が大きい領域ほど、E-E-A-Tに割くリソースを増やしていく考え方が現実的です。
E-E-A-Tの4要素ごとの押さえどころ
ここからは、4つの要素それぞれを「実務でどう表現するか」という視点で見ていきます。
書き方だけでなく、サイト全体の設計や運営体制も関わってくるため、チームで共有しやすい観点に分解して整理します。
Experience(経験)を示すためのポイント
Experienceは「実際にやってみた人の視点がきちんと入っているか」を見る要素です。
同じノウハウ記事でも、経験に基づく表現があるだけで説得力が大きく変わります。
たとえば、ツールの使い方記事なら、次のような違いが出ます。
- 「この機能をオンにしましょう」とだけ書かれた記事
- 「この機能をオンにすると、月次レポート作成にかかっていた30分の作業が5分になりました」と、具体的な変化まで書かれた記事
後者のほうが、経験に根ざした情報だと直感的に伝わります。
実務の現場では、次のような工夫がよく行われています。
- 実際の画面キャプチャや、導入前後の数値の変化を挿入する
- 「担当者視点」「ユーザー視点」など、誰の経験なのかを明記する
- 成功事例だけでなく、うまくいかなかったパターンも簡単に触れる
多くの企業サイトでは、経験の記述が不足した「きれいな解説記事」だけが並び、ユーザーが知りたいリアルな情報が抜け落ちているケースがよく見られます。
まずは完璧な文章を目指すよりも、現場で実際に試したことや感じたことを丁寧に言語化することが、Experienceを高める第一歩になります。
Expertise・Authoritativenessを高めるための工夫
Expertise(専門性)とAuthoritativeness(権威性)は近い概念ですが、見られているポイントは少し異なります。
専門性は「書き手がどれだけ詳しいか」、権威性は「周囲からその分野の情報源として認められているか」という違いがあります。
実務でよく使われる工夫は次の通りです。
- 専門性を示す例
- 著者プロフィールに資格や経歴、得意分野を明記する
- 図表やモデル図を使い、表面的な説明にとどまらない構成にする
- 「なぜそう言えるのか」という理由まで書き切る
- 権威性を示す例
- 事例ページやメディア掲載実績を整理し、誰でもたどれる場所にまとめる
- 業界団体や学会など、公的な場との関わりを分かりやすく掲載する
- 信頼できる外部サイトからの被リンクや引用が自然に集まるコンテンツを増やす
たとえば、ある税務記事が「税理士法人の公式サイトで、実務経験10年以上の税理士が執筆している」場合、専門性と権威性の両方が高いと判断されやすくなります。
一方で、匿名の個人サイトで、出典もなく断定的な節税方法だけが並んでいると、どれだけ詳しそうに見えてもE-E-A-Tの観点では評価されにくくなります。
Trust(信頼性)を中心に考える理由と具体例
Trust(信頼性)は、E-E-A-T全体の中心にある要素です。
Googleも、信頼性がもっとも重要であり、他の要素は信頼性を支えるためのものだと説明しています(出典:Google 検索セントラル)。 (Google for Developers)
具体的に信頼性が疑われやすいポイントとしては、次のようなものがあります。
- 運営者情報が一切なく、会社名や所在地、問い合わせ先が不明
- 価格や仕様などの重要情報が更新されておらず、明らかに古い
- 出典が書かれていないまま、他社資料をそのまま転載している
- 比較・ランキング記事なのに、評価軸や選定基準が明示されていない
逆に言えば、これらを1つずつ解消していくだけでも、ページの信頼性は大きく向上します。
たとえばBtoBサービスの資料請求ページでは、次のような小さな改善が効果的です。
- 会社概要へのリンクや、担当者名入りの問い合わせ窓口を分かりやすく配置する
- 料金表の更新日や「価格は変更される可能性がある」旨を明記する
- 利用規約やプライバシーポリシーへのリンクをフッターにまとめる
こうした基本的な情報が整理されているサイトは、ユーザーにとって安心して問い合わせや購入がしやすくなり、その結果として自然な評価や紹介も増えやすくなります。
YMYL領域でのE-E-A-Tの考え方と注意点
医療・金融・法律・保険などの分野は、とくにE-E-A-Tが重視される領域です。
これらはいわゆるYMYL(Your Money or Your Life)と呼ばれ、ユーザーの人生や生活に直接影響を与える可能性が高いテーマにあたります。
YMYLに近いテーマでは、次のような方針が一般的です。
- 情報の出典を一次情報(法令集、公的機関、公式サイトなど)に限定する
- 専門資格を持つ監修者のチェックを受け、その旨をページ上に明記する
- 読者の状況によって結論が変わる場合は、例外や注意事項を丁寧に書く
- 「必ず」「絶対」といった強すぎる表現を避け、判断の余地を残す
たとえば投資商品の解説記事では、「この商品に投資すれば必ず資産形成に成功します」のような表現は避ける必要があります。
代わりに「一般論としてはこうしたメリットがあるが、最終的な判断は読者自身のリスク許容度や状況に応じて行うべきである」と伝えるのが適切です。
ここで紹介している内容は、WebマーケティングやSEOの一般的な考え方に基づくものであり、個別の医療・法務・投資判断を行うための助言ではありません。
具体的な判断が必要な場合は、必ず専門家や公的機関の窓口に相談するよう案内を添えると、安全性と信頼性の両方を担保しやすくなります。
E-E-A-Tを高めるコンテンツ制作と運用の実践
最後に、実際のコンテンツ制作や運用で何をすればよいかを具体的に整理します。
ここでは、リソースが限られた小規模サイトでも取り組みやすいアクションを中心にまとめます。
毎月の運用ルーティンに組み込みやすい形で考えることで、E-E-A-Tを継続的に強化できます。
小規模サイトでも取り組みやすいE-E-A-T改善策
大規模サイトのように、多数の専門家や編集チームを抱えられない場合でも、できることは少なくありません。
実務で取り入れやすい項目を挙げると、次のようになります。
- 著者情報・監修情報の整備
- 記事ごとに著者名とプロフィールを掲載する
- 監修者がいる場合は、監修範囲と専門分野を明記する
- コンテンツ構成の工夫
- 「誰に向けた記事か」「どの状況で役立つか」を冒頭で明示する
- 経験に基づく具体例を1記事につき1つ以上入れる
- 根拠が必要な箇所にだけ、公式情報への出典リンクを付ける
- サイト全体での見直し
- 古い情報がないかを定期的に棚卸しし、更新日を分かるようにする
- お問い合わせ窓口や会社情報を、ヘッダーやフッターからすぐ辿れる位置に置く
たとえば、小さなクリニックのサイトであれば、「院長の経歴紹介」「診療方針の説明」「よくある質問とその回答」を整理するだけでも、ユーザーから見た信頼感は大きく変わります。
運用現場では、こうした基本的な情報を整えただけで、予約や問い合わせの質が明らかに良くなったという声もよく聞かれます。
現場で起こりやすい失敗パターンと対処の考え方
E-E-A-Tを意識しているつもりでも、現場では次のような失敗が起こりがちです。
- 「とりあえず権威ある人の名前を出せばいい」と考え、実際には監修していない専門家の名前を載せてしまう
- 経験談を盛ろうとして、事実より大きく見せる表現や誤解を招く表現になってしまう
- E-E-A-Tを理由にコンテンツ公開が過度に遅くなり、情報の鮮度が落ちてしまう
こうした失敗を避けるための判断基準として、次の2点を明文化しておくと役立ちます。
- 「ユーザーに誤解を与えないか」を最優先のチェック項目にすること
- 「いま分かっている範囲で正直に書く」ことをチームの共通ルールにすること
たとえば、担当者と上司のあいだで次のような会話が交わされるケースがあります。
「この部分、もう少し効果を強く言い切ったほうがコンバージョンが上がるのでは?」
「誤解を招く可能性があるので、実際のデータ範囲で言える表現にとどめましょう」
このような対話を繰り返しながら、「どこまで言ってよいか」の基準をチームでそろえていくことが、長期的にはE-E-A-Tの向上につながります。
よくある質問
Q1.E-E-A-Tは直接のランキング要因ですか?
いいえ、単独の数値指標として順位を決めるものではなく、コンテンツ品質を評価するための考え方として説明されています。
ただし、E-E-A-Tを満たしたコンテンツは、結果として検索評価にプラスに働く要素を多く持ちやすいと考えられます(出典:Google 検索セントラル)。 (Google for Developers)
Q2.プロフィールに資格がないと専門性は示せませんか?
必ずしも資格が必須というわけではありません。
長年その業務に携わっている、特定の分野に特化しているなど、経験に基づく専門性も評価対象になります。
Q3.小さなブログでもE-E-A-Tは意識すべきですか?
規模にかかわらず、ユーザーにとって信頼できる情報を届けるという意味でE-E-A-Tは参考になります。
とくにYMYLに近いテーマを扱う場合は、専門家への確認や出典の明示などを優先して行うのが安全です。
Q4.古い記事をまとめて削除したほうがE-E-A-Tは高まりますか?
情報が明らかに古く、誤解を招く恐れがある場合は、更新や統合、削除を検討する価値があります。
一方で、過去の事例として意味がある記事もあるため、影響範囲やアクセス状況を見ながら判断することが大切です。
E-E-A-Tの意味とSEOでの押さえどころのまとめ
・E-E-A-Tは経験専門性権威性信頼性の四つの観点の総称
・中心となるのはTrustで他の三要素は信頼性を支える役割
・E-E-A-T自体は単独指標ではなく品質評価の枠組みと理解する
・YMYLに近いテーマほどE-E-A-Tを重視した設計と運用が必要
・Experienceは実際の使用感や現場の具体的な描写で示すと伝わりやすい
・Expertiseは資格だけでなく蓄積された知識やスキルの深さで表現する
・Authoritativenessは事例実績外部からの言及など第三者評価が鍵になる
・Trustを高めるには運営者情報問い合わせ先出典など基本情報の整備が重要
・小規模サイトでも著者情報更新日の明記など低コストな改善から始められる
・記事ごとに誰のどんな経験を届けるのかを冒頭で明確にすると軸がぶれにくい
・誤解を招く断定表現は避け例外や条件を添えて判断材料として提示する
・古い情報は更新統合削除を使い分けてユーザーにとっての安全性を優先する
・社内でE-E-A-Tの判断基準を共有しコンテンツ公開前のチェックに組み込む
・SEO指標だけでなく問い合わせの質やユーザーの反応も評価指標として見る
・最終的にはユーザーの課題解決に役立つかどうかを判断軸の中心に置く
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