ECサイトの商品ページが色違いやクーポン付きURLなどで増え続けてしまい、どのページを検索結果に出せばいいのか分からなくなっている、という状況はよくあります。
そんなときに登場するのが「canonicalタグ」です。
名前だけ聞いたことがあるものの、どこにどう書けばよいか、リダイレクトとの違いは何かなど、細かいところで迷いやすいポイントを整理していきます。
・canonicalタグで何ができて何ができないのかの全体像
・URL正規化とcanonicalタグの関係と基本的な判断基準
・具体的なcanonicalタグの書き方とパターン別設定例
・運用時のチェックポイントとよくあるトラブル例
canonicalタグの基本と役割を理解する
canonicalタグは、重複したページや似たページが複数あるときに、「このURLを代表として扱ってほしい」と検索エンジンに伝えるための仕組みです。
まずは意味や役割を整理し、他の手段との違いを理解しておくと、その後の設定方針がぶれにくくなります。
canonicalタグの結論と要点3つ
canonicalタグの要点は大きく3つあります。
1つ目は、重複や類似ページの評価を1つのURLに集約するための目印であることです。
2つ目は、「どのURLを見せたいか」というサイト運営側の希望を伝えるための信号であることです。
3つ目は、検索エンジン側にとっては「強いヒント」であり、「絶対の命令」ではないことです。
検索エンジンは、重複しているページが多数あると、どれを代表としてインデックスすべきかを内部で判断します。
このとき、canonicalタグは代表URLを選ぶためのシグナルの1つとして扱われます。
代表に選ばれたURL(canonical URL)に評価が集まりやすくなり、その他の類似ページは補助的な位置づけになります。
canonicalタグとは何か、その意味と前提
一般的に「canonicalタグ」と呼ばれるものは、HTMLの<head>内に書く<link rel="canonical" href="...">要素です。
このタグにより、「このページに対応する正規のURLはhref属性で指定したものです」と宣言します。
Googleのドキュメントでは、canonical URLを「重複ページの中から最も代表的なURLとして選ばれたもの」と説明しています。
また、canonicalの選定にはプロトコルの違い、リダイレクト、サイトマップ、rel="canonical"の指定など複数の要因が関わるとされています(出典:Google Search Central)。
ここで重要なのは、canonicalは「正しいURLを教えるラベル」であり、ページ自体の内容を書き換えたり、ユーザーを転送したりする機能は持っていないという点です。
ユーザーは常に今開いているURLを見ており、canonicalタグが書かれていてもURLバーが自動で書き換わることはありません。
canonicalとURL正規化の関係
「URL正規化」という言葉は、同じ内容なのに表記だけが違うURLを、ひとつの代表URLにそろえて扱う考え方を指します。
たとえば、次のような違いがあるときです。
- wwwありとwwwなし
- HTTPとHTTPS
- 末尾の
/ありとなし - 並び順が違うクエリパラメータ付きURL
こうした揺れをそのままにしておくと、検索エンジンからは別々のページとして見えてしまい、評価が分散することがあります。
MDNでは、<link rel="canonical">を使って正規のアドレスを示すことで、重複コンテンツやランク低下のリスクを減らせると説明しています(出典:MDN Web Docs)。
canonicalタグは、このURL正規化を実装するための代表的な手段のひとつです。
リダイレクトや内部リンクの統一など、他の方法と組み合わせることで、より一貫したURL正規化が行えます。
canonicalタグが必要になる典型パターン
現場でcanonicalタグが必要になるケースは、次のようなパターンが多いです。
- ECサイトの商品ページで、色違い・サイズ違い・クーポン付きURLなどが多数存在する
- 同じ記事が、カテゴリー別・タグ別・アーカイブなど複数のURLから閲覧できる
- 追跡パラメータ(
?utm_source=...など)が付いたURLが自然に増えていく - PC版とスマホ版で、別URLの同一コンテンツを提供している
例えば、担当者同士の会話では次のようになりがちです。
担当A「アクセス解析を見たら、同じページなのにURLが5種類もあってどれを基準にすればいいか分かりません。」
担当B「canonicalで代表URLを決めて、解析も内部リンクもそこにそろえましょう。」
多くの中小規模サイトでも、URLの増え方を完全にコントロールするのは難しく、後からcanonicalで整理するという運用がよく見られます。
canonicalとnoindex・リダイレクトの違いと使い分け
canonicalタグは「代表URLを示す」ための仕組みであり、ページをインデックスから除外するものではありません。
似た場面で使われるnoindexやリダイレクトとは役割が違います。
一般的な判断基準は次のようになります。
- 永続的にURLを統合したい
- ユーザーにも代表URLに自動転送したい
- ⇒ 301リダイレクトを優先して検討することが多いです。
- コンテンツとしては重要ではなく、そもそも検索結果に出したくない
- ⇒ noindexを検討します。
- コンテンツとしては重要で、ユーザーにも見せたい
- バリエーションのURLが多数あり、評価をまとめたい
- ⇒ canonicalタグで代表URLを指定するケースが多いです。
たとえば、印刷用ページや内部検索結果など「検索結果に出なくてよいページ」はnoindexが選ばれやすい一方、色違い商品ページのように「ページとしては欲しい」が「評価は1つにまとめたい」場合はcanonicalが向いています。
canonicalタグの正しい設定方法と考え方
ここからは、canonicalタグを実際に書くときの基本ルールと、状況に応じた考え方を整理します。
実装方法そのものはシンプルですが、小さな違いが結果に影響しやすいため、判断基準を明確にしておくことが大切です。
canonical設定の基本ルールと判断基準
代表的な基本ルールは次の通りです。
1つ目は、各ページから指すcanonicalは「そのページに最も近い代表URL」にすることです。
内容が大きく違うページ同士をcanonicalでまとめると、検索エンジンの判断と食い違い、意図した通りに扱われない可能性があります。
2つ目は、原則として1ページに1つのcanonicalタグにすることです。
複数のcanonicalがあるとどれを信じるべきか分からなくなり、無効扱いになることがあります。
3つ目は、絶対URL(スキーム付きのフルURL)で書くことが推奨される点です。https://example.com/page/のように、プロトコルやホスト名まで含めて明示した方が解釈の誤差を減らせます。
Googleの公式ドキュメントでも、rel="canonical"による指定は代表URLを選ぶための強いシグナルのひとつとしつつ、他のシグナルと総合して判断されると説明されています(出典:Google Search Central)。
このため、canonicalだけでなく内部リンク先やリダイレクト先も代表URLにそろえることが重要です。
自サイト内でのcanonical設定パターン例
具体的なコード例は、次のようになります。
<head>
<title>商品A|公式オンラインストア</title>
<link rel="canonical" href="https://www.example.com/products/a" />
</head>
このとき、代表URL以外のバリエーションページからも、同じ代表URLに向けてcanonicalを張ります。
<!-- クーポン付きURLの商品ページ -->
<head>
<title>商品A|クーポン適用</title>
<link rel="canonical" href="https://www.example.com/products/a" />
</head>
現場では、次のような運用がよく見られます。
- 代表URLを「パラメータ無し」「HTTPS」「wwwあり」などに統一して決める
- 追跡パラメータ付きURLには、すべて元の代表URLをcanonicalで指定する
- カテゴリーやタグ一覧はそれ自体を代表URLとし、並び替えやフィルター結果にcanonicalを張るかどうかを個別に決める
多くの場合、「このコンテンツを1行で説明するとしたら、どのURLを案内したいか」を考えると、代表URLを決めやすくなります。
クロスドメインcanonicalを使うときの考え方
canonicalは、ドメインをまたいで指定する(クロスドメインcanonical)ことも技術的には可能です。
たとえば、同じ記事を自社サイトとメディアサイトの両方に掲載している場合に、元記事側をcanonicalに指定するといったパターンです。
ただし、ドメインをまたぐcanonicalは、検索エンジンごとに扱いが異なる点に注意が必要です。
Chromeの開発者向けドキュメントでは、canonical URLを別ドメインに向けることは推奨されず、一部の検索エンジンではサポートされていないと説明されています(出典:Chrome for Developers)。
そのため、クロスドメインcanonicalを使うのは、次のような条件がそろう場合に絞ることが多いです。
- コンテンツがほぼ完全に同じである
- どちらを代表URLにするか、関係者間で合意が取れている
- 将来的にも代表URLの方を「元記事」として維持する予定がある
状況によっては、canonicalではなく、転載側に「オリジナル記事へのリンク」を設置するだけにとどめる方が無難なケースもあります。
CMSやフレームワーク利用時の注意点
WordPressや各種CMS、SPAフレームワークなどでは、テンプレート側で自動的にcanonicalが出力されることが多くなっています。
便利な一方で、次のような注意点があります。
- 設定画面で代表URLのルール(wwwありなし、HTTP・HTTPSなど)をきちんと決めておかないと、意図しないURLがcanonicalとして出力される
- テスト環境やステージング環境に本番URLへのcanonicalが入ったまま公開され、テスト環境が本番のコピーとして扱われてしまう
- SPAや動的レンダリング環境で、JavaScriptによってcanonicalが書き換えられ、クローラーが見るHTMLと実際の画面でcanonicalが異なる
制作の現場では、「テーマを変えたらcanonicalが二重に出るようになった」「プラグイン同士が競合して別々のcanonicalを出していた」といったトラブルも珍しくありません。
CMS任せにせず、実際のHTMLソースにどのcanonicalが出ているかを確認することが大切です。
よくあるミスと注意したい誤解
canonical周りで特に多いミスや誤解は、次のようなものです。
- noindexとcanonicalを同じページに同時に指定してしまう
- 「インデックスから除外したい」のか「代表URLをまとめたい」のかが矛盾し、意図しない扱いになりやすいです。
- canonicalが404ページやリダイレクト先に向いている
- 代表URLとしてふさわしくないため、無視される場合があります。
- 内容がまったく違うページ同士をまとめてしまう
- 検索エンジン側がcanonical指定を信頼しづらくなります。
Googleは、rel=”canonical”に関する一般的なミスとして、複数のcanonical指定や内容の異なるページへの指定などを挙げています(出典:Google Search Central)。
「本当にこのURLを代表にしてよいか」「内容はほぼ同じか」を確認してからcanonicalを貼ることが、トラブルを防ぐ近道です。
canonicalタグ運用時のチェックポイントとよくある疑問
canonicalタグは、一度設定して終わりではなく、運用の中で定期的に確認することが重要です。
ここでは、設定後にチェックしたいポイントと、現場でよく出る質問をまとめます。
canonical設定後に確認したいポイント
代表的な確認ポイントは次の通りです。
- 代表URL・バリエーションURLの両方にアクセスし、HTMLソースのcanonicalが期待通りになっているか
- 内部リンクやパンくずリスト、サイトマップなどが、代表URLにそろっているか
- 検索エンジンの管理ツール(例:URL検査ツールなど)で、どのURLがcanonicalとして認識されているか
Googleは、canonical問題のトラブルシューティングの中で、「検索エンジンが実際にどのURLをcanonicalと判断しているか」をツールで確認することを推奨しています(出典:Google Search Central)。
自分が指定したcanonicalと、検索エンジンが選んでいるcanonicalが一致しているかを見ておくと、早い段階で食い違いに気づけます。
ありがちなトラブルと気づきにくい症状
canonicalに起因するトラブルは、エラー画面のように分かりやすく表面化しないことが多く、「なんとなく順位が安定しない」「アクセスがばらつく」といった形で現れます。
ありがちな症状としては、次のようなものがあります。
- 代表URLではなく、パラメータ付きURLが検索結果に出てしまう
- 同じページへのリンクが、「/」「/index.html」「パラメータ付き」などバラバラに貼られている
- 代表URLと別のURLが、それぞれ別ページのように評価されている
制作現場でよく見られるのは、サイトリニューアルやURL構造の変更後にcanonicalの更新漏れが残るケースです。
「レイアウトはきれいになったのに、canonicalだけ旧URLのまま」という状態になっていないかも確認しておきたいポイントです。
よくある質問
ここでは、canonicalタグに関してよく聞かれる質問をいくつか取り上げます。
Q1:自動的にcanonicalが出ているなら、そのままでも大丈夫ですか。
A1:多くの場合は問題なく動作しますが、「どのURLを代表にするか」という方針がツール側と自社側でずれていることがあります。
代表URLのルールを決めたうえで、実際の出力結果がそのルールに沿っているか確認するのが安心です。
Q2:canonicalだけ設定しておけば、内部リンクはバラバラでもかまいませんか。
A2:内部リンク先がバラバラだと、検索エンジンに「どのURLを重視しているか」が伝わりにくくなります。
内部リンクでも代表URLにそろえることで、canonicalのシグナルを補強できると考えるとよいです。
Q3:canonicalと301リダイレクトは両方使ってもよいですか。
A3:一般的には、リダイレクト先をcanonicalとして指定すること自体は問題ありません。
ただし、リダイレクトだけで意図が伝わるケースも多いため、「なぜ両方必要なのか」を整理したうえで使い分けるとよいです。
Q4:canonicalタグを使うと、必ずそのURLが検索結果に出ますか。
A4:canonicalはあくまで「強いヒント」であり、「必ず従ってもらえる保証」ではありません。
内容の一貫性や内部リンク構造など、他の要素も含めて総合的に判断される点を前提にしておく必要があります。
canonicalタグの意味と設定の考え方についてのまとめ
・canonicalタグは重複や類似ページの代表URLを示すための仕組み
・URL正規化の一手段として評価やシグナルを1つのURLに集約できる
・canonicalは強いヒントであり絶対の命令ではない点を理解する
・代表にするURLは内容がほぼ同じページ同士の中から選定する
・1ページに1つのcanonicalタグとし絶対URLで指定するのが基本
・代表URLと内部リンクやサイトマップのURLをそろえて一貫性を保つ
・バリエーションURLから代表URLへcanonicalを張る設定パターンを持つ
・クロスドメインcanonicalは必要な場合に絞って慎重に検討する
・CMSやプラグイン任せにせず実際のHTMLソースの出力を確認する
・noindexやリダイレクトとの役割の違いを整理して使い分ける
・noindexとcanonicalの同時指定や404へのcanonicalを避ける
・設定後は管理ツールなどで検索エンジンの認識状況を確認する
・リニューアルやURL変更時にはcanonicalの更新漏れに注意する
・内部リンク先を代表URLに統一し評価の分散を防ぐ意識を持つ
・canonicalを使う目的はユーザーと検索エンジン双方にとって分かりやすいURL構造にすること
・検索結果で差がつく構造化データとは?その仕組みと役割を解説
・検索クローラーとは?仕組みと巡回の考え方を基礎から解説
・インデックスされない原因とは?検索に登録される仕組み
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