広告運用のレポートで「ランディングページを改善してください」と言われたものの、何から手を付ければよいか分からずブラウザのタブだけ増えていく、という状況は珍しくありません。
同じように「LPOが大事」とは聞くものの、そもそも何をどう変えることがLPOなのか、どこまでやれば良いのかがあいまいなまま施策を進めてしまい、効果検証に困るケースも多いです。
ここでは、LPOの意味と目的を整理したうえで、改善の考え方と見直すポイントを、基礎から順に確認していきます。
・LPOの基本的な意味と目的が分かる
・ランディングページと他施策(SEO・CRO)との違いが分かる
・LPO改善を進める際の判断基準と指標が分かる
・現場で起こりやすい失敗と注意点、優先順位の決め方が分かる
LPOの基本的な意味と役割を理解する
まずは、LPOが何を指すのか、どこまでを対象とするのかを整理します。
用語のイメージがあいまいなまま手を動かすと、施策の範囲が広がりすぎてしまい、効果検証が難しくなります。
LPOの結論と、関連する用語との違いを先に押さえておくと、その後の判断がしやすくなります。
LPOの結論(要点3つ)
LPOの要点は、次の3つにまとめられます。
1つ目は、広告や流入元と内容が一致したランディングページを用意し、訪問者の期待に応えることです。
広告で約束した内容と、ランディングページの情報や構成がずれていると、離脱が増えやすくなります。
2つ目は、訪問者が迷わず次の一歩を踏み出せるよう、ページ構成や導線を最適化することです。
同じ情報量でも、配置や順番が違うだけで、読まれ方や行動率が大きく変わります。
3つ目は、コンバージョン率(CVR)などの指標を見ながら、小さくテストを繰り返して改善していくプロセスであることです。
一度作って終わりではなく、テストと改善を重ねる前提で捉えると、ムダな作業を減らしやすくなります。
LPOの基本的な意味と役割
LPOは、Landing Page Optimization(ランディングページ最適化)の略で、ランディングページ内の要素を見直し、コンバージョン率を高めることを目的とした取り組みです。
一般的な説明でも「ランディングページをユーザーのニーズに合わせて最適化し、コンバージョン率を向上させる施策」とされています。
(出典:HubSpot公式サイト) (HubSpot)
役割としては、単に見た目を整えることではなく、広告や流入キーワードと整合した情報を、ユーザーが理解しやすい順序とレイアウトで提示することが中心になります。
例えば「資料請求」をゴールとするLPであれば、ユーザーが知りたい情報(信頼できる会社か、どんな資料が届くか、料金は発生するのかなど)を、フォームにたどり着くまでの間に、過不足なく提示できているかが問われます。
現場では、「とりあえずデザインを変える」「バナーを追加する」といった部分的な変更もLPOと呼ばれることがありますが、本来はゴールに向かうストーリー全体の最適化だと捉えると迷いにくくなります。
ランディングページとLPの範囲
LPOの対象となる「ランディングページ」には、広い意味と狭い意味があります。
広義には「ユーザーが最初に着地したページ全般」を指し、狭義には「広告の受け皿として設計された1枚完結型のページ(いわゆるLP)」を指すことが多いです。
マーケティングの現場では、広告専用の1枚ものLPを想定してLPOと呼ぶケースが一般的です。
(出典:Kaizen Platform公式サイト) (KAIZEN PLATFORM)
例えば、検索広告から商品紹介LPに流入させる場合、そのLPがLPOの主な対象になります。
一方で、オウンドメディアの記事ページが最初の着地になっているケースでは、記事ページの構成やCTAも広い意味でのLPO対象になり得ます。
LPOとCRO・SEOとの関係
LPOと似た言葉に、CRO(コンバージョン率最適化)やSEO(検索エンジン最適化)があります。
それぞれの関係を整理すると、施策の優先順位を決めやすくなります。
一般的には、CROはサイト全体のコンバージョン率を改善する上位概念で、その一部としてLPOがあると理解されます。
CROはトップページや商品一覧、フォームページなどサイト全体が対象ですが、LPOはランディングページにフォーカスした改善です。
SEOは検索エンジンからの流入を増やすための施策であり、主に「来てもらうための工夫」が中心、LPOは「来てくれた人に行動してもらうための工夫」が中心という整理ができます。
現場では、SEOで流入を増やしつつ、LPOでコンバージョン率を高めるという組み合わせがよく使われます。
LPOを理解するための判断基準
LPOに当たるかどうか迷うときは、次の3つを基準にすると整理しやすくなります。
1つ目は、対象が「最初に着地するページ」かどうかです。
キャンペーンから直接遷移するページや、広告の受け皿になっているページであればLPOの対象と言えます。
2つ目は、ゴールが明確なコンバージョンかどうかです。
資料請求、無料トライアル登録、問い合わせ、購入など、ユーザーに取ってほしい行動がはっきりしていると、LPOの成果を測りやすくなります。
3つ目は、広告や流入元とページ内容の一貫性を改善しようとしているかです。
単なるデザイン変更ではなく、「このキーワードで来た人が、このメッセージを見て、この行動を取りたくなるか」という筋道を設計しているかどうかがポイントになります。
例えば、
ユーザー「無料で試せるって広告に書いてあったから来たのに、本当に無料かどうかよく分からない…」
担当者「その不安が払拭できる説明や、料金の補足が不足している」
という状況も、LPOの範囲で改善すべきテーマだと判断できます。
LPO改善の考え方とプロセス
ここからは、実際にLPOを進めるときの全体像を見ていきます。
単発の思いつきで変えるのではなく、どの順番で何を見るかを決めておくと、社内の合意形成もしやすくなります。
また、数値をどのように見ていくかを事前に整理しておくことで、改善の効果を説明しやすくなります。
LPO改善の全体像とプロセス
LPOのプロセスは、細かい方法論は違っても、大まかに次のような流れで整理できます。
- ゴール(コンバージョン)の定義とKPI設定
- 流入経路とユーザーの想定ニーズの整理
- 現在のランディングページの現状把握(定量・定性)
- 仮説立案(どこを変えればCVRが上がりそうか)
- 重要度の高い要素から優先順位を付けて改善案を作成
- A/Bテストや期間比較で効果検証
- 良かったパターンを反映し、次の仮説に進む
現場では、1〜3を飛ばしていきなり5から始めてしまうことが多く、「なぜそれを変えるのか」「成功かどうかを何で判断するのか」が曖昧になりがちです。
最初にゴールとKPIを決め、ユーザー像を整理してから着手することで、ムダな修正を減らせます。
ユーザー行動から考えるLPOの着眼点
LPOでは、ページ上の要素を単体で見るより、ユーザーの行動の流れとして見ることが重要です。
例えば、以下のような流れでユーザーの行動をイメージします。
- 広告文または検索結果のスニペットを見てクリック
- ファーストビューで「自分向けかどうか」を判断
- 気になるポイントをスクロールしながら確認
- 不安点を解消する情報を探す
- 行動ボタン(CTA)を見て、クリックするか検討
この流れに沿って、次のような問いを立てると、着眼点が見えやすくなります。
- 広告のメッセージとファーストビューのコピーはつながっているか
- ユーザーが知りたい情報が、欲しい順番で並んでいるか
- CTAボタンの文言や位置は、「今押しても大丈夫そう」と思える設計になっているか
例えば、
ユーザー「この資料請求って、営業電話がしつこく来ないかな?」
担当者「『営業行為は一切ありません』と一言書くだけでCVRが上がった例もある」
といったやり取りは、ユーザーの行動や心理から逆算した改善の一例です。
指標とデータの見方(CVR・直帰率など)
LPOの成果を測る際によく使われる指標には、次のようなものがあります。
- CVR(コンバージョン率):CV数 ÷ セッション数
- 直帰率:1ページだけ見て離脱したセッションの割合
- ページ滞在時間やスクロール率
- フォーム入力開始率・完了率
これらの数値は単体で見るより、ユーザーの行動とセットで解釈することが大切です。
例えば、直帰率が高い場合でも、CPAが許容範囲であれば問題にならないケースもあります。
逆に、スクロール率が高くてよく読まれているように見えても、フォーム送信にほとんどつながっていない場合は、CTA付近の訴求やフォームのハードルに問題があるかもしれません。
また、広告経由のLPでは、ランディングページのエクスペリエンスが広告プラットフォームの評価(品質スコア)にも影響するとされています。
Google広告では、情報の有用性や関連性、ナビゲーションのしやすさなどがランディングページ体験として評価項目に含まれます。
(出典:Google Adsヘルプ) (Google ヘルプ)
A/Bテストで少しずつ改善する考え方
LPOでは、「一度にすべてを作り直す」よりも、影響の大きい箇所から順番にA/Bテストで検証していく方法が一般的です。
いきなりページ全体を変えてしまうと、どの要素が効いたのか分からなくなり、次の施策に活かしにくくなります。
よくテスト対象になる要素の例としては、
- ファーストビューの見出し(ベネフィットの出し方)
- メイン画像(利用シーンか、商品アップか)
- CTAボタンの文言や色、設置位置
- 料金や導入事例など、信頼情報の出し方や順番
などがあります。
例えば、
パターンA「無料で試せるBtoBツール」
パターンB「3か月で業務時間を30%削減した事例多数」
という2つの見出しをテストし、CVRが高い方を採用するといった進め方です。
現場で起こりやすい失敗と注意点
LPOの現場でよく起こる失敗には、次のようなパターンがあります。
1つは、社内の好みでデザインだけを大きく変えてしまうケースです。
ユーザーのニーズやデータを見ずに「こっちのデザインの方が好きだから」と決めてしまうと、CVRが下がってしまうこともあります。
2つ目は、訴求を盛り込みすぎて、何のページなのか分からなくなるケースです。
ベネフィット、機能一覧、キャンペーン情報などを詰め込みすぎると、ユーザーが読み進めるうちに「結局何ができるのか」「自分に関係あるのか」が見えにくくなります。
3つ目は、短期間の数値だけで判断してしまうケースです。
流入ボリュームが少ない状態でA/Bテストを行うと、偶然のバラつきを見て意思決定してしまうことがあります。
一定のセッション数やコンバージョン数を目安に、期間とボリュームの両方を考慮して判断することが大切です。
LPOは「これをやれば必ず成功する」という単純なものではなく、ユーザー理解と検証を積み重ねるプロセスだと認識しておくと、過度な期待や失望を避けやすくなります。
LPOを進めるときに押さえたいポイント
最後に、LPOを実務で進める際の優先順位や、社内での進め方のポイントを整理します。
限られたリソースの中で効果を出すには、どこから手をつけるか、誰とどう協力するかが重要です。
よくある質問も併せて確認し、全体像を締めくくります。
LPOの優先順位を決めるポイント
LPOの優先順位を決める際は、次のような観点をチェックします。
- 影響範囲:そのLPが占める売上・リードの比率は大きいか
- 現状の課題感:CVRが明らかに他より低いか、直帰率が極端に高いか
- 改善のしやすさ:文言や構成を変えるだけでテストできるか
例えば、全体売上の多くを担っているメイン商材のLPで、CVRが明らかに低い場合には、そこを優先する価値があります。
一方、ニッチなキャンペーンLPで、社内の確認に時間がかかる施策を最初に選ぶと、改善サイクルが止まりがちです。
判断に迷ったときは、「インパクト(売上への影響)×実行のしやすさ」でスコアリングすると、客観的に優先順位を決めやすくなります。
チームでLPOを進めるときの考え方
LPOは、担当者1人だけで完結することはあまりなく、
- マーケティング担当(広告運用担当)
- デザイナー・コーダー
- 営業やカスタマーサポート(ユーザーの声を知っている人)
など、複数のメンバーが関わることが多いです。
スムーズに進めるためには、
- 事前に「このテストで何を確認したいか」を1枚の資料やドキュメントにまとめる
- 施策ごとに、オーナーとレビュー担当を明確にする
- 結果が出たら、良かった点・悪かった点を簡単に共有しておく
といった基本的なコミュニケーションの型を用意しておくと、再現性が高まります。
また、ユーザーインタビューや問い合わせ内容から得られる「生の声」は、LPOの仮説づくりに非常に役立ちます。
例えば「料金が分かりにくい」という問い合わせが多いなら、料金表の見せ方やタイミングを変えるだけでCVRが改善する可能性があります。
LPOの基礎知識や重要性については、企業のマーケティング支援サイトなどでも、ユーザーニーズに基づくページ最適化がリード獲得や売上向上につながると整理されています。
(出典:Toppanデジタルマーケティングの解説ページ) (TOPPANクロレ株式会社)
よくある質問
Q. LPOとサイト全体のリニューアルはどう区別すればいいですか?
A. LPOは「特定のランディングページ」の改善にフォーカスした取り組みです。
サイト全体の構造やブランドを見直すリニューアルとは目的も範囲も異なります。
まずは主要なLPから着手し、成果が出てきたら他のページにも知見を展開するイメージが一般的です。
Q. デザインとテキスト、どちらから見直すべきですか?
A. 一般的には、メッセージ(何を伝えるか)→見せ方(どう伝えるか)の順で考えると良いと言われます。
まずは見出しや訴求の方向性を整理し、その後でレイアウトやビジュアルを調整する方が、仮説の筋が通りやすくなります。
Q. CVRが十分に高い場合でも、LPOを行う意味はありますか?
A. ありますが、他の施策とのバランスを見て判断することが重要です。
CPAやLTVの目標を達成できているなら、LPOに大きなリソースを割くより、流入を増やす施策に投資した方がよい場合もあります。
Q. 小さな改善ばかりでなく、大きく変えた方が良いこともありますか?
A. 現状のLPがユーザーのニーズから大きくずれている場合には、大きな見直しが必要になることもあります。
ただし、いきなり全面リニューアルを実施するのではなく、大枠のコンセプトだけ決めてから、要素ごとにテストしていくと、失敗のリスクを抑えられます。
LPOの意味と改善の考え方のまとめ
・LPOはランディングページを最適化しCVRを高める考え方
・広告や検索意図とLPの内容を一致させることが出発点
・ユーザーが迷わず行動できる情報構成と導線設計が重要
・LPOはCROの一部でありSEOとは役割が異なる
・KPIを決めてからページ改善に着手すると判断しやすい
・ランディングページの定義は広義と狭義があると理解する
・ファーストビューとCTA周辺は優先的にテストしたい要素
・数値指標はユーザー行動とセットで解釈することが大切
・A Bテストで少しずつ検証し知見を蓄積していく姿勢が必要
・デザインだけでなくメッセージの筋を整えることが前提
・インパクトと実行しやすさで改善の優先順位を決める
・ユーザーの生の声や問い合わせ内容は仮説作成の重要な材料
・複数部署が関わるため目的と仮説を共有する型を用意する
・短期的な数値のぶれではなく一定期間で成果を評価する
・LPOは一度きりではなく継続的に見直すプロセスと捉える
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