会議や上司との会話で「KPI」「KGI」という言葉を聞いて、
なんとなく分かったつもりになっていませんか。
実はこの2つの違いが曖昧なままだと、目標設定や評価の話が一気に分かりにくくなります。
この記事では、ITやビジネス用語が苦手な社会人の方に向けて、
KPIとKGIの違いと使い分けを、会議やプロジェクトの身近な例を使って丁寧に解説します。
・KPIとKGIの違いを一言で説明できるようになる
・会社やプロジェクトでの正しい使い分けが分かる
・会議や目標管理での「あるあるな勘違い」を避けられる
・自分の仕事や評価にどう関係するかが理解できる
基礎理解・前提の整理
この章では、KPIとKGIを理解するための土台を整理します。
最初に結論を押さえたうえで、それぞれの意味と役割、共通点を初心者向けに解説します。
ここを理解しておくことで、後半の使い分けがスムーズになります。
結論:KPIとKGIの違いを一言で説明すると
・KGI:最終的に達成したいゴールの数値
・KPI:ゴールに近づいているかを途中で確認する数値
KGIとKPIは、会社やチームで目標を立てるときによく出てくる言葉です。
ただ、似たような場面で使われるせいで「どっちがどっちだっけ」と混乱しがちです。
結論から言うと、KGIはゴールで、KPIはそのゴールに向かう途中のチェックポイントです。
身近な例でいうと、ダイエットが分かりやすいです。
「3か月で体重を5kg減らす」がKGIです。
そのために「1日8000歩歩く」「週3回ジムに行く」「間食を週2回までにする」など、途中で管理できる指標がKPIです。
KGIだけ見ていると、期限直前に焦って無理をしがちです。
KPIがあると、日々の行動がズレていないか早めに気づけます。
会社の目標管理も同じで、KGIとKPIをセットで考えると、目標が「絵に描いた餅」になりにくくなります。
KGIとは?初心者向けに噛み砕いて説明
KGIは「Key Goal Indicator」の略で、最終目標を数値で表したものです。
分かりやすく言えば「この期限までに、最終的にこうなっていたい」というゴールの基準です。
会社だと売上や利益、契約数など、結果として分かりやすい数字がKGIになることが多いです。
たとえば営業チームなら、
「今期の売上を1億円にする」
「新規契約を100社にする」
といった形がKGIです。
マーケティングなら「月間の問い合わせ数を500件にする」などもKGIになり得ます。
KGIのポイントは、結果の数字であることです。
つまり、途中経過ではなく最終的に達成できたかどうかを判断するための指標です。
だからこそ、KGIだけだと「で、何をすればいいの?」になりやすいです。
会議でよくあるのが、KGIだけ掲げて具体策が曖昧な状態です。
- 上司「今期は売上を伸ばそう」
- 現場「何をどれくらいやればいいですか?」
このギャップを埋めるために、次に出てくるのがKPIです。
KPIとは?KGIとの関係もあわせて解説
KPIは「Key Performance Indicator」の略で、KGIに向けた途中の進み具合を測る数値です。
ゴールに対して、毎週・毎月など短いスパンで確認できる指標を置くイメージです。
KGIが「目的地」なら、KPIは「途中の標識」や「メーター」です。
たとえば「売上1億円」がKGIだとしたら、KPIは次のようになります。
- 商談数(何件提案したか)
- 新規リード数(見込み客の数)
- 成約率(提案のうち何割決まったか)
- 平均単価(1件あたりの金額)
売上は突然生まれるわけではなく、行動やプロセスの積み重ねで生まれます。
KPIはその積み重ねが順調かどうかを見るためのものです。
実務の会話では、こんなやり取りがよくあります。
- 上司「今期KGIは売上1億。KPIは月の商談30件ね」
- メンバー「商談を増やすために、今月は架電とメールを強化します」
こうすると、数字と行動がつながりやすくなります。
KPIは多すぎると管理できなくなるので、基本は「重要な少数」に絞るのがコツです。
KPIとKGIの共通点は何か?
KPIとKGIは役割が違いますが、共通点もあります。
どちらも目標を数字で見える化するための指標です。
数字にすることで、感覚ではなく事実で会話できるようになります。
また、どちらも「期限」とセットで考えるのが基本です。
期限がないと、達成したかどうかが曖昧になり、評価や改善につながりにくいからです。
さらに、KPIもKGIも「チームの合意」が重要です。
上司だけが決めて現場が納得していないと、数字が形だけになってしまいます。
共通点をまとめると、次の通りです。
- 目標を数値で明確にする
- 進捗を判断しやすくする
- チームで同じ方向を見るための道具になる
KGIとKPIは単体で使うより、セットで使うことで効果が出ます。
「ゴールが何か」と「そこに向けて何を見るか」がそろって、初めて目標管理として機能します。
違いの整理・比較・使い分け
基礎を押さえたら、次は実務での使い分けです。
会社やプロジェクト、会議の具体例をもとに、KPIとKGIがどう使われるのかを整理します。
ありがちな勘違いやFAQも含めて、現場で迷わない考え方を身につけます。
KPIとKGIの違いを比較して整理
違いを混乱しないために、ここで比較して整理します。
ポイントは「結果か、途中か」「目的地か、道しるべか」です。
| 項目 | KGI | KPI |
|---|---|---|
| 役割 | 最終ゴール | 途中の進捗指標 |
| 例 | 売上、利益、契約数 | 商談数、成約率、問い合わせ数 |
| 確認頻度 | 期間の最後に評価しやすい | 週次・月次など短い周期で確認 |
| 目的 | 達成したかを判断する | 近づいているかを改善する |
実務でありがちな失敗は、KGIとKPIが逆転することです。
たとえば「SNS投稿数」をKGIにしてしまうと、投稿自体が目的化しがちです。
投稿数は本来KPIになりやすく、最終的なKGIは「問い合わせ数」や「売上」などになります。
- KGI:問い合わせ数を月300件にする
- KPI:SNS投稿を週5本、サイト流入を月○○にする
このように、最終成果と行動指標を分けて考えると、チームの動きが整いやすくなります。
会社やプロジェクトでの具体的な利用シーンと使い分け
会社では、部門や職種によってKGIとKPIの置き方が変わります。
ただ、考え方は共通で「最終成果」と「途中の指標」をつなげることです。
たとえばWebサービス運営のプロジェクトなら、こんな形があり得ます。
- KGI:月間売上を500万円にする
- KPI:新規登録数、無料→有料の転換率、解約率、平均単価
人事や採用でもKPIとKGIは使われます。
- KGI:今期中にエンジニア10名採用する
- KPI:応募数、面接設定数、内定承諾率
家計管理でも考え方は同じです。
「年間で貯金100万円」がKGIなら、
「毎月の固定費を○円下げる」「外食回数を月○回にする」がKPIになります。
KGIだけだと「貯金したい」で終わりますが、KPIを置くと「何を減らすか」が見えます。
つまり使い分けのコツは、
結果をKGIにして、結果を生む行動や途中結果をKPIにすることです。
これを押さえるだけで、会議の目標設定がぐっと現実的になります。
会議や目標管理でよくあるKPIとKGIの例え話
会議の場面では、KPIとKGIが混ざったまま話が進むことが多いです。
そこで、例え話で整理してみます。
たとえば「新店舗の売上を伸ばしたい」という会議を想像してください。
KGIは「月の売上を800万円にする」です。
ではKPIは何かというと、売上を分解して考えます。
売上=客数 × 客単価
という考え方があります。
この場合、KPIは「来店客数」や「客単価」に置けます。
さらに「客数」を増やすために、
「チラシ配布数」「SNS投稿数」「予約件数」など、もう一段細かいKPIを置くこともあります。
実務面の会話例だと、こうなります。
- 店長「KGIは月800万。じゃあ客数を増やすKPIは予約件数にしよう」
- スタッフ「予約を増やすためにSNS投稿を週3回にします」
こういう流れになると、目標が「現場の行動」に落ちます。
逆に、KGIだけで止まると、
「売上上げよう!」
で終わってしまい、行動がバラバラになりやすいです。
初心者がよくするKPIとKGIの勘違い
KPIとKGIでよくある勘違いをまとめます。
1つ目は、KPIを増やしすぎることです。
全部追うと管理が回らず、数字を見るだけで疲れてしまいます。
「最重要の2〜5個」くらいに絞ると運用しやすいです。
2つ目は、KPIが目的化することです。
SNS投稿数や架電数など、行動KPIは分かりやすい反面、やった気になりやすいです。
KGIに結びついているかを定期的に確認する必要があります。
3つ目は、KGIが高すぎて現場が動けないことです。
現実味がないKGIだと、KPIを置いても「どうせ無理」で動きが止まります。
目標は高くても、根拠や分解が必要です。
あるあるとして、
「KGIは売上1億。KPIは気合」
みたいな会話があります。
これでは改善できません。
KPIは、具体的に測れて、行動につながるものにするのがポイントです。
KPIとKGIに関するよくある質問(FAQ)
Q1. KPIは行動目標でもいいですか?
A. はい、行動目標でもOKです。
ただし「行動したか」だけで終わらないように、KGIにつながるかを確認しましょう。
たとえば「架電数」はKPIになりますが、成約につながっているかも見ないと改善できません。
Q2. KPIとKGIは誰が決めるべきですか?
A. 理想は、上司だけで決めずにチームで合意しながら決めることです。
上から降りてきた数字でも、現場が納得できる分解(KPI設計)ができれば動けます。
逆に納得できないままだと、数字だけが形骸化しがちです。
Q3. KPIが達成できているのにKGIが未達なのはなぜですか?
A. よくあります。
原因としては、KPIの選び方がズレている、KPIが少なすぎる、外部要因で状況が変わった、などが考えられます。
その場合は「KPIを見直す」「KPIの分解を増やす」など、設計の改善が必要です。
まとめ:KPIとKGIの違いと正しい使い分けの要点
最後に要点をまとめます。
- KGIは最終的に達成したいゴールの数値です。
- KPIはKGIに近づいているかを途中で確認する数値です。
- 共通点は、目標を数字で見える化して、チームの会話を揃える道具であることです。
- 使い分けの基本は、結果をKGI、結果につながる途中指標をKPIにすることです。
- KPIは増やしすぎず、KGIとつながっているかを定期的に見直すのが大切です。
迷ったら、
「これは最終成果か?」
「途中のチェックポイントか?」
で考えてみてください。
この判断ができるようになると、会議の目標設定が理解しやすくなり、自分の仕事の動き方も整理しやすくなります。
・プロセスとスレッドの違いとは?スマホアプリの例で初心者向けに解説
・Cookieとセッションの違いとは?初心者向けに仕組みと使い分けを解説
・SQLとNoSQLの違いとは?初心者向けに仕組みと使い分けを解説
・GitとGitHubの違いとは?初心者向けに役割と使い分けをやさしく解説
・フロントエンドとバックエンドの違いとは?初心者向けに役割と使い分けを解説
・【初心者向け】GETとPOSTの違いとは?フォーム送信の具体例で解説
・HTTPとHTTPSは何が違う?安全性・暗号化・選び方を解説
・クラスとは?オブジェクトとは?違いと関係をわかりやすく解説
・ライブラリとフレームワークの違いは?初心者向けに使い分けを解説
・APIとSDKの違いは?初心者向けにわかりやすく解説
