「Git」と「GitHub」という言葉を、エンジニア向けの記事や仕事の会話で聞いたことはあるものの、「同じものなのか」「何が違うのか」が分からずに困った経験はありませんか。
特にIT用語に苦手意識があると、セットで出てくる言葉ほど混乱しがちです。
しかし、この2つの役割をシンプルに理解するだけで、開発の話やチーム作業の流れが一気に見えやすくなります。
この記事では、IT初心者の社会人の方に向けて、GitとGitHubの違いを身近な例を使って丁寧に解説します。
読み終える頃には、「これはGitの話」「これはGitHubの話」と切り分けられるようになります。
・GitとGitHubの違いを一言で説明できるようになる
・GitとGitHubそれぞれの役割と関係が分かる
・実務やチーム開発での使い分けがイメージできる
・初心者がやりがちな勘違いを避けられるようになる
基礎理解・前提の整理
GitとGitHubを理解するには、まず「どちらが何を担当しているのか」を整理することが大切です。
言葉の定義だけを覚えようとすると混乱しますが、役割の違いを押さえれば自然と理解できます。
この章では、最初に結論を示したうえで、Gitとは何か、GitHubとは何か、そして両者の共通点を順番に解説します。
ここを理解しておくことで、後半の比較や使い分けがスムーズになります。
結論:GitとGitHubの違いを一言で説明すると
- Git:変更履歴を管理する仕組み
- GitHub:Gitの履歴やコードをみんなで共有する場所
GitとGitHubはセットで聞くことが多いので、同じものだと思われがちです。
しかし役割ははっきり違います。
Gitは「自分のパソコンの中でも動く履歴管理ツール」です。
GitHubは「Gitで管理しているものをネット上で共有し、チームで扱いやすくするサービス」です。
例え話でいうと、Gitは「Wordの変更履歴」や「ファイルの版管理」に近いです。
いつ、誰が、どこを変えたかを追える仕組みです。
GitHubは、そのファイルを置いておく「共有フォルダ」や「みんなで編集する作業場」のイメージです。
共有することでレビューや共同作業がしやすくなります。
この違いを押さえると、学習も実務の会話もスムーズになります。
Gitとは?初心者向けに噛み砕いて説明
Gitは、簡単に言うとファイルの変更履歴を記録して管理するための道具です。
プログラミングではソースコードを管理するのに使われますが、考え方は「過去の状態に戻せる」「変更点が分かる」仕組みです。
たとえば資料作りで「最終」「最終2」「最終_本当に最終」みたいなファイルが増えた経験はありませんか。
あれは履歴管理を手動でやっている状態です。
Gitを使うと、ファイル名を増やさなくても、変更の履歴をスッキリ記録できます。
さらに、誰がどこを変えたかも追えます。
Gitのポイントは次の通りです。
- 変更履歴を残せる
- 過去の状態に戻せる
- 変更点を比較できる
- 作業を枝分かれさせて進められる(ブランチという考え方)
重要なのは、Gitはネットがなくても、基本は自分のPC内だけで使える点です。
つまりGitは「履歴を管理する仕組み」そのものです。
GitHubとは?Gitとの関係もあわせて解説
GitHubは、Gitで管理しているコードや履歴をインターネット上で保管・共有できるサービスです。
Gitが「仕組み」なら、GitHubは「その仕組みを使ってみんなで作業するための場」と考えると分かりやすいです。
Gitだけでも履歴管理はできます。
ただ、チームで開発するなら「共有場所」や「レビューの仕組み」が必要になります。
そこで登場するのがGitHubです。
GitHubでは、次のようなことができます。
- コードをクラウド上に置いて共有する
- 他の人の変更を取り込む、取り込まないを管理する
- 変更内容を見ながらコメントして確認する(レビュー)
- 不具合や要望をチケットのように管理する(Issue)
会社の例でいうと、Gitは「自分のPCの中で議事録の履歴を管理する仕組み」です。
GitHubは「議事録をチームの共有スペースに置き、変更提案にコメントしながら合意して更新する場」です。
この場があることで、誰が何をしたかが透明になり、作業が衝突しにくくなります。
GitとGitHubの共通点は何か?
GitとGitHubは別物ですが、共通点もあります。
どちらも最終的には、変更履歴をきれいに管理して、共同作業をやりやすくするためのものです。
また、GitHubはGitを前提にしたサービスなので、共通のキーワードとして「リポジトリ(保管場所)」が出てきます。
ただし初心者のうちは、「プロジェクトのフォルダ」くらいの理解でOKです。
Gitで履歴を管理する対象のまとまりがリポジトリで、それをGitHubに置くと共有できる、という流れです。
共通点を整理すると、次のようになります。
- 変更履歴を管理する文化を支える
- チームでの開発や作業の衝突を減らす
- 過去の状態に戻せる安心感を作る
つまり、GitとGitHubは役割が違っても、同じゴールに向かって連携している存在だと言えます。
違いの整理・比較・使い分け
基礎が分かったら、次は「実際の現場ではどう使い分けるのか」を見ていきます。
GitとGitHubは意味が分かっていても、会話の中では混ざって使われることが多い言葉です。
この章では、違いを比較しながら、具体的な利用シーン、勘違いしやすいポイント、FAQまでまとめて整理します。
読み終えたときに、仕事の会話で迷わず判断できる状態を目指します。
GitとGitHubの違いを比較して整理
違いを一番スッキリ整理するなら、ツールか、サービスかで分けるのが近道です。
表にすると分かりやすいです。
| 項目 | Git | GitHub |
|---|---|---|
| 立ち位置 | 履歴管理の仕組み(ツール) | 共有・管理の場(サービス) |
| 使う場所 | 主に自分のPC内 | インターネット上 |
| 主な目的 | 変更履歴を記録する | チームで共有・レビューする |
| なくても成り立つか | Gitだけでも履歴管理は可能 | Gitがないと基本使えない |
実務の会話では、
「Gitでコミットしておいて」
「GitHubにプッシュして共有して」
のように、2段階で話されることが多いです。
ここでいうコミットは「履歴を確定して記録する」、プッシュは「その記録をGitHubに送る」くらいの理解で十分です。
具体的な利用シーンで見るGitとGitHubの使い分け
「どっちをいつ使うのか」が分かると、急にイメージが具体的になります。
よくあるシーンを挙げます。
- 一人で学習・個人開発
まずはGitだけでも十分です。
自分のPC内で履歴を残せるので、間違えても戻せます。
ただ、PCが壊れたときに備えてGitHubに置くとバックアップになります。 - チーム開発(会社の案件)
GitHubがほぼ必須になります。
誰がどこを変えたかを共有し、レビューしてから取り込む流れを作れるからです。
「勝手に本番を変えない」ためのルールづくりにも役立ちます。 - 外部の人と共同作業(業務委託やオープンソース)
GitHub上でIssueやレビューを使いながら進めることが多いです。
「この修正どう思いますか」と会話が残るので、後から経緯も追えます。
例え話でいうと、Gitは自分のノートに下書きと修正履歴を残す行為です。
GitHubはそのノートをみんなが見られる場所に置いて、赤入れや相談をしながら完成版にしていく場です。
一人ならノートだけでも進みますが、複数人なら共有場所がないと混乱します。
初心者がよくするGitとGitHubの勘違い
初心者がつまずきやすい勘違いをまとめます。
1つ目は、Git=GitHubと思ってしまうことです。
Gitは履歴管理の仕組みで、GitHubは共有サービスです。
同じではありません。
2つ目は、GitHubに上げれば自動で履歴管理されるという勘違いです。
GitHubはGitの履歴を置く場所なので、まずGitで履歴を作る必要があります。
つまり、コミットしていないと「履歴」として残りません。
3つ目は、GitHubに置いているから安全と思い込むことです。
公開設定を間違えると、社外秘のコードが見える状態になることもあります。
会社の案件では、公開範囲(Privateなど)の確認が大切です。
よくあるあるとして、
「GitHubにファイルをドラッグして置いたけど、Gitの操作が分からない」
という状態があります。
それは「共有フォルダに置いただけ」で、Gitの履歴管理の力を十分に使えていないケースです。
GitとGitHubに関するよくある質問(FAQ)
Q1. GitHubがあればGitは不要ですか?
A. 基本的には不要ではありません。
GitHubはGitを前提にしたサービスなので、通常はGitで履歴を作り、それをGitHubに送って共有します。
「GitHubだけで完結」と感じる場面があっても、裏側ではGitの仕組みが動いていることが多いです。
Q2. GitHub以外にも似たサービスはありますか?
A. あります。
代表的にはGitLabやBitbucketなどがあり、どれも「Gitの共有とチーム開発を支える場」という意味では近いです。
ただ、初心者のうちはまずGitHubを触って流れを理解するのがおすすめです。
Q3. 仕事でGitHubを使うときに最低限気をつけることは何ですか?
A. 公開範囲と情報の取り扱いです。
社内コードや設定情報(パスワードなど)を誤って公開しないように、リポジトリの設定や運用ルールを確認しましょう。
また、レビューを通してから取り込む運用にすると事故が減ります。
まとめ:GitとGitHubの違いと使い分けの要点
最後に要点をまとめます。
- Gitは変更履歴を管理する仕組みです。
- GitHubはGitのコードや履歴を共有する場所です。
- 共通点は、変更履歴をきれいに管理して共同作業をしやすくすることです。
- 使い分けは、一人ならGit中心、チームならGitHubもセットで考えるのが基本です。
迷ったら、
「履歴を作るのがGit」
「共有してみんなで扱うのがGitHub」
と覚えてください。
この違いが分かると、開発チームの会話で出てくる「コミット」「プッシュ」などの言葉も理解しやすくなります。
