「API」や「SDK」という言葉を、仕事やIT系の記事で見聞きしたことはあるものの、「正直よく分からない」「違いを説明できない」と感じていませんか。
なんとなく似た言葉に見えるため、混同したまま使っている人も少なくありません。
しかし、この2つの違いをざっくりでも理解しておくと、システム連携の話やIT担当者との会話がぐっと分かりやすくなります。
この記事では、IT用語が苦手な社会人の方に向けて、APIとSDKの違いを身近な例を交えながら丁寧に解説します。
専門知識がなくても理解できる内容になっていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
基礎理解・前提の整理
APIとSDKの違いを正しく理解するためには、いきなり比較するのではなく、まずそれぞれが「何者なのか」を整理することが大切です。
言葉だけ聞くと難しく感じますが、役割や考え方をシンプルに分解すれば、ITが苦手な方でも十分理解できます。
この章では、結論を最初に示したうえで、APIとは何か、SDKとは何か、そして両者の共通点について順番に解説します。
ここを押さえておくことで、後半の「違い」や「使い分け」がスムーズに理解できるようになります。
結論:APIとSDKの違いを一言で説明すると
一言でいうと、APIは外部に機能を呼び出すための窓口や約束事で、SDKはその窓口を使って開発するための道具一式です。
APIは「ここにこの形式でお願いすると、結果を返します」というルールを定めたものです。
一方でSDKは、そのルールに沿った処理を簡単に実装できるよう、便利な部品や説明書をまとめたセットです。
たとえば飲食店に置き換えると、APIは「注文方法のルール」にあたります。
「この番号を伝えれば、この料理が出てくる」という決まりごとです。
SDKは「注文をスムーズにする仕組み一式」で、メニュー表や注文用紙、スタッフ向けマニュアルまでそろっている状態だと考えると分かりやすいです。
目的は同じでも、役割と範囲が異なります。
APIとは?初心者向けに噛み砕いて説明
APIは「Application Programming Interface」の略です。
難しく聞こえますが、初心者向けにはシステム同士がやり取りするための決まりごとと理解すると十分です。
自分のアプリや社内システムから、別のサービスの機能を使いたいとき、APIを通して「お願い」をします。
すると、結果が返ってきます。
身近な例として、経費精算システムを思い浮かべてください。
交通費を登録すると、会計システムにも自動で反映されることがあります。
この裏側では、経費精算システムがAPIを使って会計システムにデータを渡しています。
APIを理解するうえで大切なポイントは、次の3つです。
- 何ができるか
- どうやってお願いするか
- どんな結果が返ってくるか
つまりAPIは、外部の便利な機能を安全に使うための入口だと考えてください。
SDKとは?APIとの関係もあわせて解説
SDKは「Software Development Kit」の略です。
初心者向けには、開発を楽にするためのセット商品と覚えるのがおすすめです。
SDKの中には、次のようなものがまとめて含まれています。
- APIを簡単に使うためのライブラリ
- 分かりやすい説明書
- 動作するサンプルコード
- テスト用ツールや設定ファイル
APIが「ルール」だとすると、SDKはそのルールを守りながら効率よく作業するための道具です。
たとえば決済サービスのSDKを使えば、面倒でミスしやすい処理を自分で一から作らずに済みます。
コンビニで宅配便を送る場面を想像してください。
APIは「伝票の書き方や受付の決まり」です。
SDKは「書き方見本、入力フォーム、注意点が全部そろったセット」です。
SDKがあることで、迷わず作業できるようになります。
APIとSDKの共通点は何か?
APIとSDKは別物ですが、共通点もあります。
共通点を押さえることで、違いがよりはっきりします。
最大の共通点は、どちらも外部の機能を活用して価値を生み出すための仕組みであることです。
ゼロからすべてを作らず、既存の仕組みを上手に使うために用意されています。
また、SDKはAPIを使いやすくするために提供されることが多いという点も共通理解として重要です。
SDKの中には、APIを呼び出す処理が組み込まれているケースがほとんどです。
共通点を整理すると、次のようになります。
- 外部サービスを活用するための仕組み
- 説明書や仕様の理解が必要
- セキュリティや利用ルールが存在する
どちらも便利ですが、正しく理解しないと動かない点は共通しています。
違いの整理・比較・使い分け
前半でAPIとSDKの基本が分かったところで、次は「結局どう違うのか」「どんな場面で使い分けるのか」を整理していきます。
初心者の方がつまずきやすいのは、言葉の定義ではなく、実際の使われ方や判断ポイントが見えにくい点です。
この章では、APIとSDKを比較しながら違いを明確にし、具体的な利用シーンやよくある勘違いも紹介します。
読み終えたときに、「この場面ではAPI」「この場合はSDK」と判断できる状態を目指します。
APIとSDKの違いを比較して整理
APIとSDKの違いを理解するポイントは、役割の範囲です。
APIは「何ができて、どう頼めば、何が返るか」というルールの部分を担当します。
SDKは、そのルールを使って実際に作るための道具一式です。
よくある例えでは、APIは「電話番号と会話の決まり」、SDKは「スマートフォンと連絡先、会話例のセット」です。
初心者が混乱しやすいのは、SDKを使っていると裏側でAPIが動いているためです。
SDKのボタンを押すだけでも、内部ではAPI通信が行われています。
そのため、覚え方としては、
APIはルール、SDKは道具
とセットで覚えるのがおすすめです。
具体的な利用シーンで見るAPIとSDKの使い分け
実際の現場では、APIとSDKを目的に応じて使い分けます。
APIを意識する場面は、次のようなケースです。
- システム同士を連携したいとき
- 取得できるデータや制限を確認したいとき
- サービスの仕様を把握したいとき
一方でSDKを意識するのは、次のような場面です。
- アプリやWebに機能を組み込みたいとき
- 開発スピードを重視したいとき
- 公式が推奨する安全な方法で実装したいとき
たとえば地図機能を使う場合、画面表示はSDKが便利です。
一方で「特定条件で店舗を検索する」といった処理は、APIの仕様理解が必要になります。
実務では、まずSDKを使い、必要に応じてAPIを理解する流れが一般的です。
初心者がよくするAPIとSDKの勘違い
APIとSDKには、初心者が陥りやすい勘違いがあります。
1つ目は、SDKがあればAPIを理解しなくてよいという考えです。
実際には、エラー対応や仕様確認の場面でAPIの理解が役立ちます。
2つ目は、APIとSDKの役割を逆に覚えてしまうことです。
APIはルール、SDKは道具という関係を忘れないようにしましょう。
3つ目は、APIは開発者だけのものという思い込みです。
ビジネス側でも「API連携できるかどうか」は重要な判断材料になります。
会議でAPIという言葉が出たら、
何ができるのか、制限は何か
を意識すると理解が深まります。
まとめ:APIとSDKの違いと使い分けの要点
最後に、記事の要点をまとめます。
- APIは機能を呼び出すためのルールや窓口
- SDKは開発を楽にするための道具一式
- 共通点は、外部機能を活用するための仕組みであること
- 実装重視ならSDK、仕様理解ならAPIを意識する
迷ったときは、
これはルールの話か、道具の話か
と考えてみてください。
APIとSDKの違いが分かると、IT用語への苦手意識が減り、仕事での会話や資料理解がぐっと楽になります。
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